愛されブランドの育て方(1)
こんにちは、持木と申します。日経グループの調査会社で、様々な企業のマーケティングリサーチ(市場調査)の受託事業を10年以上担当してきました。最近改めて実感するのは、マーケティングの源泉は「ブランド力」だということです。企業や製品・サービスのブランド力を向上させるにはどうすればいいのか。ささやかながらその経験やノウハウを皆さまにおすそ分けできればと思い、チームでnoteアカウントを立ち上げました。
さて。ブランドに関するリサーチの現場では近年、強い好意を示す層のインサイトを明らかにする動きが目立ちます。強い好意を示す層とは、たとえば「エンゲージメント」「ファン」「リレーションシップ」「絆」「熱狂」‥など、様々な呼び名で語られます。これらに共通するのは、ブランド力の未来指標として「今後も使い続けてくれる」「継続的に購入してくれる」人としてとらえることが多いです。収益にも直結するとも言われています。
自社のブランドや製品・サービスのブランドが市場でどれほど愛されているだろうか‥マーケティングの出発点にはそんな現状把握が求められます。教科書的ではありますが、そのためにはまずリサーチで市場に直接問いかけることで、その声を集めることから始まります。
ブランドの「愛され度」をリサーチで市場から広くあまねくとらえるには大きく分けて2つの方法があります。
①リサーチで直接、市場に問いかけ明らかにする
②リサーチ後、分析で市場の特徴を明らかにする
①リサーチで直接、市場に問いかけ明らかにする
自社のブランドや製品・サービスのブランドが市場でどれほど愛されているか、直接問いかける方法です。リサーチでは設問文や選択肢のワーディング(言葉づかい)が大事で、リサーチを企画・設計するマーケターやリサーチャーの腕がここで問われます。代表的なものをいくつかご紹介します。
【好感度】シンプルでカジュアルに「好きですか?」ときくものです。「そのブランドのことはよく知っているが、好きなのかどうか」というベーシックな指標です。
設問文:○○○に好感をお持ちですか。
選択肢:
「非常に好感が持てる」「まあ好感が持てる」
「どちらともいえない・わからない」
「あまり好感が持てない」「全く好感が持てない」
(日経リサーチ「ぷちブランド戦略サーベイ」より)
ブランドの浸透状況を測る4項目
【愛着度】好感度よりもじっくり、しっかりと、その愛され度をきくものです。デービット・A・アーカー氏の著書「ブランド優位の戦略」での「愛着」を参考にしています。
設問文:企業の姿勢や製品・サービスなどから、○○○に「愛着」を感じますか。
選択肢:
「たいへん感じる」「まあ感じる」
「どちらともいえない」
「あまり感じられない」「全く感じられない」
(日経リサーチ「ブランド戦略サーベイ」より)
「愛着度」が比較的高い同業界の2ブランド
【熱狂度】トライバルメディアハウスさんによる、愛の深さを測る指標として知られています。
設問文:あなたにとって○○○はどのような「存在」ですか。あなたのお気持ちに最も近いものを1つだけお選びください。
選択肢:
「私は○○○にすっかりハマっている(夢中だ、ぞっこんだ)」
「私は○○○に愛着を感じながらつかっている(幸せを感じる)」
「私は○○○を好きで使っている」
「私は○○○を悪くはないと思いながら使っている(そこそこ満足)」
「私は○○○を、なんとなく使っている」
(参考:トライバルメディアハウス「熱狂的推奨者実態調査」)
次回は応用編の「②リサーチ後、分析で市場の特徴を明らかにする」をご紹介します。
(日経リサーチ ソリューション本部 ブランドチーム 持木俊介)