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自らの経験を組織で活かす!野中郁次郎さんからの学び
著名人がご自身の半生を振り返る日経のコラム「私の履歴書」。
今月は経営学者・野中郁次郎さんです。
「暗黙知」と「形式知」の2軸で整理された「知識創造プロセス」は、日本で、世界で、大きな評価を得ています。
さて、野中さんを語るうえでもう一つ忘れてはならないのが『失敗の本質』です。
この本は、第二次世界大戦で日本が「なぜ負けたのか」という問いに応えようと、野中さんをはじめ、組織論や経営学、あるいは政治史・軍事史の研究者が協同して分析している本です。
■何が書かれているか
この本は、戦争史というよりも、組織・経営に関する本として読むことができます。
それは、日本軍の失敗(敗北)の原因を個人の意思決定や物資の不足に求めることなく、そもそも組織的な欠陥にその根源があったのではないかという問いのもとに分析されているからです。
序章では、日本軍の失敗が現代の組織にどう関連するかが説明されています。
・軍隊とはそもそも合理的、階層的官僚制組織の代表例
・なのに、組織的使命を果たすべき時に(すなわち戦争の局面)、合理的ではない行動を示した
・これは、他の日本の組織一般にも当てはまることではないか
■現場の経験が生かされる仕組み
本では、失敗例として6つのケースを取り上げ、各著者が手分けして事例研究しています。野中さんは1942年の「ガダルカナル作戦」の担当です。
野中さんはガダルカナル島での敗北の原因を以下のように説いています。
作戦司令部には兵站軽視、情報力軽視、科学的思考方法軽視の風潮があった。それゆえ、日本軍の戦略策定過程は、独自の風土をもつ硬直的・官僚的な思考の性質のままに机上でのプランを練っていく過程で生まれる抽象的なものであったが、第一線でかなりの程度までの命令遂行が行われたのは、戦闘部隊が熟達した戦闘技倆の瞬時における迅速果敢な展開による、抽象的な戦略布達を補って余りあるものを発揮したからである。
要は、指示の内容があいまいでも、個々のメンバーは優秀だからある程度までは頑張れちゃう、と。
続けて野中さんは以下のように分析します。
したがって、本来的に、第一線からの積み重ねの反覆を通じて個々の戦闘の経験が戦略・戦術の策定に帰納的に反映されるシステムが生まれていれば、環境変化への果敢な対応策が遂行されるはずであった。しかしながら、第一線からの作戦変更はほとんど拒否されたし、したがって第一線からのフィードバックは存在しなかった。
あいまいなのは仕方ないとしても、現場の経験が生かされる仕組みができないと変化に対応できない、と。
■知識創造プロセス
冒頭でご紹介した「知識創造プロセス」も、企業が成長するには、組織内、チーム内で、知識が創造される仕組みが必要だという考えです。
自分が取り組み続けることの大変さや、チームを率いることの大変さをこれまで書いてきましたが、自分たちだけが成長すればいいわけではなく、それを還元させることが大事。組織に経験が蓄積されることが、次の成長機会につながる。
会社(組織)に経験を伝え、それを受け止めてもらう。それこそが自身の(あるいは自分のチームの)次の成長につながる。
日々の活動で得た情報をほかのチームにも伝え、組織として定着してもらうようにするか。取り組むべきことは、まだまだたくさんありますね。
うぉし、頑張ろう。