ドストエフスキーに相談だ!
この地球に誕生してからというもの人類は、一日たりとも罪を犯さなかった日がない。人間は欲望に際限がなく、自己利益の為だけに繁栄している地球のウイルスである。もちろん異論もあるだろうし、そもそもなにを罪とするかはそれぞれの倫理観によって変わってくるが、その中で同じ思想を持った集合体は守るべきルールの境界線、つまり罪の教典をつくる。
それが戒律や法である。そして、それを破った者には“罰”がかされる。罰には天罰や刑罰があり、精神的、肉体的に苦痛を受ける恐怖心によって罪を犯すのを抑止させようとする装置だ。
刑罰の種類も様々で、罰金、懲役、死刑など、「馴染みのある刑」や、磔刑、島流し、足を切り落とされたり、罪人の証しとして入れ墨を彫られたり、ある地域では未だにギロチンによる公開処刑があったり、罪人を剥製にしてしまう刑までもある。
そこで、罪を憎む一人の市民として、少しでも犯罪数減少を目指すべく、新たな刑罰の形を提案したい。
・刑務所のテーマパーク化
見せしめの刑罰と、来園客からの税収を得る二つの目的で、博物館兼遊園地、“プリズンランド”を建設してみるのはどうだろうか。動物園のような檻に入れられた囚人達を、お面をつけた観光客が見て回る、人権無視の施設である。売店では囚人せんべいが売られ、餌付けが出来る。囚人達が自戒の念を込めながら作る「懺悔チュロス」を食べ歩きつつ乗る、目玉のアトラクションは、腰縄を付けた囚人に引っ張らせて動く20人乗りのコースター「ビッグ後悔・マウンテン」、トロッコに乗りながら囚人達をスペース銃で撃っていくライド系アトラクション「恥ずべき・自分が・イヤー」、可愛らしい仮装をした何故か指が四本しかない囚人がいる「ヤーさんのハニーハント」、そして、夜には囚人達にLEDを巻き付けてパーク内を回る「エレクトリカル市中引き回し」なるパレードもある。問題点としては、こんな悪趣味なテーマパークに来客が見込めないことと、建設地からの反対運動が起きるのが明らかであることだ。
・全国に広く犯罪歴を認知させる
重大な罪を犯したにもかかわらず、報道もされず出所してからごくごく普通の生活をしている罪人は、確かにいる。犯罪者の未来を根絶しろとまでは言わないが、犯罪した事実が消えたかのような態度には釈然としない。そこで、普段人がよく手にし、よく目にするものに証しを残すはどうだろう。毎日人が使うものといえばやはり、貨幣ではないだろうか。つまり紙幣に犯罪者の姿を印刷してしまうのだ。ただ、肖像画のように印刷しては、まるで偉人になり、意味がない。したがって、恥ずかしい姿を載せてしまえばいい。下半身は裸で背を向き、股を広げその間から顔を出し、肛門を広げて、ウインクした姿をのせるのだ。おまけに吹き出しで“ソーリー!”といれておけば、国民の反感は犯罪者にむけられることだろう。この提案の問題点は、財布にそんな紙幣を入れなくてはならない人々の不快感はどうやっても拭えないということにつきる。
やはり、無い知恵を絞っても、考えの浅い私のような人間が罰を作ろうというのは、全くもって、罪作りなことである。