不良のいる風景

学生時代には、接し方に困り、苦い思い出もある煙たい存在、ヤンキーだが、映画の中のヤンキー達には違う印象を抱く人も多いはず。

学生の身分をいいことに暴れまくるはた迷惑なはずの不良少年に、ワルとは無縁の青春を過ごした人々もなぜか熱狂してしまうのです。 

今回は、そんな非ヤンキーでも、不良映画の主人公さながらの“漢”らしさを身につける為の3つの極意を紹介します。


1、とにかく見た目。

映画『クローズZERO』(2007)は、高橋ヒロシの漫画『クローズ』を原作とした不良映画の人気作です。この作品において劇中はまるでファッションショーのよう。それぞれ登場人物は、髪に剃りこみを入れたり、ゴツいアクセサリーをジャラジャラ付けたり、自分のワルさとキャラクターをスタイリッシュに表現しています。ネルシャツの裾をGパンにキッチリ入れた不良はいないのです。 どんな時でも人の目は気にせず、自分が何者かを見た目いっぱつで堂々と宣言するのが漢です。 だからといってなにもヤンキーファッションに身を包めということではありません。自分の個性と相談して、自分がどんな人間か一目で分かる服装に変えてしまうのです。アイドル好きならそのアイドルの顔がプリントされたTシャツを着る、マンガ家を目指しているならベレー帽、ギークならゆったりした黒Tにデジタル時計、知性に自信があるなら白衣、露出狂はマスクにロングコート。白い目で見られようが関係ないのです。

2、キメ顔を持つ。

映画『岸和田少年愚連隊カオルちゃん最強伝説』(2001)は、カオルちゃん(竹内力)の顔芸映画です。とにかく常に怒り顔で、数十人に囲まれようが、沖縄の番長が乗り込んでこようが、どんなにピンチの時でも過剰なまでにメンチをきり続ける。これこそ漢。日常生活で窮地に追いやられたとき、オロオロしたり、キョドったり、情けない顔をしてはいけないのです。だからといって非ヤンキーはメンチをきる機会も必要もない。ならば、その代わりに自分の中の一番かっこいいキメ顔を持ちましょう。 そして、会社の上司や学校の先生に怒られている時、そのキメ顔のまま怒られるのです。反省した顔をみせてやり過ごそうなんてのは、漢じゃない。怒られている時も、誰に見られているか分からないのです。恋人の浮気現場に遭遇してしまっても、キメ顔で問いただす。恋人にも浮気相手にもいつ何時でもカッコをつける。過剰な自意識でカッコをつけ続ける。カッコつけはネガティブなことでは決してありません。アンチ自然体。漢はいつだって不自然なものです。

3、困ったら大声。

映画『パッチギ!』(2005)は抗争の絶えない京都の高校生の姿を描いた青春映画ですが、この作品の魅力のひとつにヤンキー同士の関西圏ならではの流暢な口喧嘩があります。リ・アンソン(高岡蒼佑)と大西(ケンドーコバヤシ)の口喧嘩は、結局殴り合いになってしまう展開も含めて見応え充分です。口がたつというのは生きていく上で非常に大切なことです。 ただ世の中そんなに弁士ばかりじゃありません。言いたいことはあるけれど、ぶつけたい思いはあるけれど、とっさに言葉には出ない。そんな人も多いはずです。安心してください。この映画に限らず、不良映画では感情が最高潮にまで高まった時は、大声で叫びながら敵に向かっていくのが暗黙の了解となっています。結局、うまい言い回しもキザなセリフも必要ないのです。声のボリュームでどれほど大事な場面かが分かるのです。つまり、困ったら大きな声をだす。普段はクールに決め込んで、大事な時に大声。助言を求められた時、いいアドバイスが浮かばなかったら大声で「心配ないさ!」と叫ぶ。悲しみに暮れている友に慰めの言葉が見つからないなら、大声で一緒に泣く。好きな人を気の利いたデートでもてなせないならば、大声で「好きだ!」と伝える。この単純極まりない、馬鹿ともとれる素直さこそ漢なのです。

今回、紹介した3つの方法を実践すれば、ダサいけれどまっすぐで、自分の個性を執拗なまでに押し出していく、矛盾ばかりだけど憎めない、そんな映画の主人公に相応しい人間くさい漢になれるはずです。ぜひ挑戦して欲しいものです。

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