マッピング解法で解く!私大現代文《2》──青山学院大学(中編)
❖制限時間30秒,自力で解いてみよう!
中編では,青学2021年度一般選抜・全学部日程【国語】大問1の終盤2問について,《傍線部──選択肢》マッピング(ダイレクトマッピング)を使ってどこまで正解に迫れるかを検証します。
さっそく問九を解いてみましょう。
要領は前回と同じ,「傍線部の言い換え表現を選択肢中に探す」です。
制限時間は30秒,正解はこのあとすぐ!
❖なんて親切な大学なんだ!
傍線部で着目すべきは「(いかに)冗漫か」です。上の引用では再現できませんでしたが,ホンモノの設問文では「冗漫」の脇に傍点「、、」が振ってあり,この言葉が強調されています。
なんて親切な大学でしょう。「冗漫」をキーワードとして選択肢を探せばよいのだと,教えてくれているようなものです。
言われる通りに探してみると,確かに言い換え表現がありました!
え,これで決まり?
そうなんです。
④の前半のフレーズ「メディア情報やアナウンサーの魔術がない本物のゲーム」は,傍線部「“媒介”を経ない生のゲーム」の言い換え表現と考えて間違いないでしょう。実際の正解も④です。
「“アナウンサーの魔術”って何? 」などと深く考えなくても良いのです。どのみち本文に戻れば,それについて書かれているでしょうから。
❖本文に戻らずに解けてしまって良い?
「あの,でもそれって,本文を確認せずに正解にしちゃって良いの?」
今のところは,とりあえずそれで良いと考えておいてください。
続けて問十一,最後から2番目の設問にいきます。
これまでより傍線部の文が長く,どのフレーズに着目すれば良いのか,ちょっと迷うかもしれません。
これも制限時間30秒,自力で解いてみましょう。
❖「鷲の目」でターゲットワードを捉える!
ダイレクトマッピングのコツは「読む」のではなく「眺める」,意味を理解しようとして精読するのではなく,傍線部と選択肢の両方を高い位置から俯瞰するのです。上空から獲物を狙う鷲の目(イーグルアイ)のように。
すると、傍線部の最後「持続する」と選択肢①「いつまでも終わることがない」との対応がパッと目に入ります。明らかな言い換え表現,ターゲットワードです。
さらに,①の「本物の正体を隠蔽してしまうため」は,傍線部「本物が不可知であるがゆえ」と強い対応関係にあります(どちらも「本物が見えない」という意味の言い換え表現)。
この時点で選択肢①が正解の最有力候補として浮上,もはや①以外の選択肢を検討する必要がないほどの対応度です。もちろん①が正解!
❖「言い換えマップ」で対応関係をチェック!
傍線部fと選択肢①との対応関係を,改めて図解で示しておきます(本では「言い換えマップ」と命名)。
選択肢①は,傍線部の内容を補足して「分かりやすく言い換えた文」であることが一目瞭然です。理由を表す「ゆえ」と「ため」の対応関係に注目すると,「~は・・なので(理由)**である」という文構造も同じであることが分かります。
他の選択肢では,④「幻惑させ続ける」が選択肢「持続する」の言い換えのように見えて気になるかもしれません。
しかし,傍線部「本物が不可知であるがゆえ」に対応する表現が選択肢④になく,傍線部にも④「スポーツ・ファンを幻惑させ続ける」に対応するフレーズがありません。比較した場合,①が断然勝っています。
❖本文に戻って確認しなくても良い理由
ここで,次のような素朴な疑問が出てくるかと。
「でもさ、①の前半『スポーツ・ファンが複数メディアによって構築した』と対応するフレーズだって傍線部にないじゃん? それでも①を正解にしちゃって良いの?」
確かに,本文に即しているかどうかを確認したくなるところです。しかし,この設問に関してはその必要がありません。
と言うのも,問八で正解と“認定”した選択肢➄に「複製のメディアのデータの蓄積により構築された物語」とあります(前編を参照)。
これが正解であるとの前提に立てば,その言い換え表現とみなせる①「スポーツ・ファンが複数メディアによって構築した仮想の物語」も,当然本文に即しているはずで,正しいと判定できてしまうのです。
❖こんなにラクに解ける問題ばかりじゃないが・・・
前編と今回の中編を通じて,問二,問八,問九,問十一の4問全てを,問題文を読むことなくダイレクトマッピングで仕留めました。
ちょっと出来過ぎかも?
そうですね~,共通テストもですが中堅~難関レベルと呼ばれる大学の一般入試において,《傍線部──選択肢》マッピングで一発正解できる設問はそれほどありません。むしろかなり少ないでしょう。
それでも,傍線部の言い換え表現が選択肢にあれば,その選択肢が正解である可能性が高まると考えて間違いありませんので,ドンドン活用してください。前編でもお話ししましたが,その根拠を改めてまとめ直します。
❖次回後編,残りの傍線部問題をマッピング解法で!
青学2021年度全学部日程【国語】の大問1は,以下のように12の設問からなります。「撃墜!」とあるのは前編と今回とで仕留めた設問,「現在までの戦況」をまとめておきます。
どうせなので,残りも片付けてしまいたいところですが,空欄補充問題も含めて全問を解説するとなると,無駄に長くなってダレてしまいます。
そこで次回後編では,ここまでスルーしてきた傍線部問題(問一,問四)を含めた逃走中の4問を追撃・捕獲して,都心の一等地にあるお洒落な青山キャンパスから引き揚げることとします。
では,後編でまたお会いしましょう!