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『岸辺露伴は倒れない』感想

こんにちは、仁木碧と申します。

タイトルの通り、『岸辺露伴は倒れない』の感想です。
ネタバレが含まれます。

3話の短編が収録されているんですが、特に印象に残った『原作者 岸辺露伴』についてお話しさせていただきます。

今回の小説を読んで、岸辺露伴は案外まともかもしれないと思いました。
でもやっぱりちょっと、いや、かなり変だなとも思いました(笑)



まずその前に


原作である『ジョジョの奇妙な冒険』4部を読むと、岸辺露伴は印象に残る台詞を多く残しております。
皆さんは好きな台詞は有りますか?

好きかどうかは置いておいて、印象に残っている台詞(というかシーン?)に「味もみておこう」が有ると思います。
家の中に居た蜘蛛を食べる時に発した言葉です。

これだけ聞くと原作を読んだことが無い方は「家の中に居た蜘蛛を食べるって何?!」って感じだと思うんですが、これには歴とした理由が有ります。
(「蜘蛛を食べること」に理由……?)

まずこのシーンの直前にとても良い台詞を言っているので、その説明もします。

『マンガ』とは、想像や空想で描かれていると思われがちだが、実は違う!
自分の見た事や、体験した事、 感動した事を描いてこそおもしろくなるんだ!


初めて読んだ時「ほ〜〜なるほど!」と思いました。
異能力バトル物、近未来物など、現実離れした作品は数多く存在しますが、空想の話ばっかり描いててもそう簡単に面白くはならないということか!と私は解釈しました。

それこそ『ジョジョの奇妙な冒険』は、全部が全部、訳のわからない能力の話では無く、キャラクターの感情や人間模様にはどこか説得力が有ります。

『リアリティ』こそが
作品に声明を吹き込むエネルギーであり
『リアリティ』こそが
エンターテイメントなのさ

このようなことも、彼は言っています。

彼がリアリティの追求の為に欠かさないこと
それは「取材」です。

『岸辺露伴は動かない』等、岸辺露伴のスピンオフ作品の中で「取材」と称して怪しい場所に行くお話がいくつか有りますが、その中でも今回の『原作者 岸辺露伴』を読んで「リアリティ追求の為の取材」が度を超えていたという事を知りました。



『原作者 岸辺露伴』


結論から話してしまうと、私が「度を超えている」思ったこと
それは
「『ドラマの現場の取材』の為に、自分の作品の『ドラマ化』を承諾する」
ということです。
これは本当に凄いことですよね。

「自分の作品がドラマ化?!嬉しい!!」ではなく
「ドラマの現場を見てみるってのも良いかもしれない」という発想なんですよ
贅沢すぎる

そして、『倒れない』を読み、「彼って案外まともかも」と思ったこと、「意外だなぁ」と感じたことは
「岸辺露伴は、素直に他人を称賛出来る」ということと、「他人を称賛する時、沢山言葉を並べる」ということです。

テレビドラマ撮影の現場とか、俳優の演技に対してだとか、そこに対して媚びとか社交辞令は無くて、本当に感心して驚いている様でした。
まぁそもそも、彼の人生において「媚び」とか「社交辞令」をすることって縁がなさそうですよね。
「される側」なら沢山有りそうですが。

この「意外性」は、「違和感」というより、「こういう一面もあるのか」くらいに私は捉えました。
私が忘れているだけで、原作でも他人を称賛する場面があったかもしれませんが、あまり印象に残っていません。

彼は、自分以外の物事を全て見下しているという訳では無く、芸術や音楽など、良いものには「敬意」を払っています。

にも関わらず、どうして原作では「称賛する」印象が薄いのかと考えた時に、単純に「そうなる場面」が少ないからだろうなぁと思いました。

康一くんはともかく、ジョジョ4部主人公の仗助に対しては「こいつに話したところで、価値なんてわからんだろう」とか思ってそうじゃないですか?(笑)

『黄金のメロディ』でも「漫画家の時間は貴重だ」と言っているので、「価値のわからない人間に話したところで……」と思ってそうです(笑)

つまり、「素晴らしさがわかる人間」には、饒舌になるのかなぁと思いました。
これだけ聞くと嫌なやつですね(笑)

しかし、相手を選んで会話をしていると考えれば好感が持てますね
(ものは言いよう)

その分野に対して興味の無い相手、詳しくない相手に、自分の好きなことや拘りについて熱く語りすぎると煙たがられてしまうので、「話しても良い相手を選んで話している」と考えると納得です。



まとめ


本編では見ることの出来ない一面を垣間見ることが出来るので、「スピンオフ」作品って素敵ですよね。

しかし、全てを原作者が手掛けている訳ではないので
(監修は入っていると思いますが結局書いている・描いているのは違う人のことが多い)
作品によって、「うーん思ってたのと違った……」という時もあるので難しいです。

でも、この『岸辺露伴は倒れない』に関しては、私のイメージを逸脱せず、とても楽しく読めました。
他の小説シリーズを実は読んでいないので、今度手に取ろうと思います。

ではまた!


最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます!
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仁木 碧
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