二軒茶屋餅もの語り編集委員|橘 紀子

創業天正年間(1575年)創業の二軒茶屋餅角屋本店、鈴木宗一郎さん・成宗さんにお話をお聞きし、伊勢の奥深い郷土史にはまった筆者。その面白さをお伝えしたくnoteに書きしたためました。二軒茶屋餅角屋本店公式サイト https://nikenjayamochi.jp/

二軒茶屋餅もの語り編集委員|橘 紀子

創業天正年間(1575年)創業の二軒茶屋餅角屋本店、鈴木宗一郎さん・成宗さんにお話をお聞きし、伊勢の奥深い郷土史にはまった筆者。その面白さをお伝えしたくnoteに書きしたためました。二軒茶屋餅角屋本店公式サイト https://nikenjayamochi.jp/

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二軒茶屋餅もの語り【0】プロローグ

いらっしゃいませ。二軒茶屋餅もの語りのnoteにお越しいただき、ありがとうございます。 筆者は、二軒茶屋餅に出合ったことがきっかけで今まで知らなかった「もうひとつの伊勢」を知り、郷土史の面白さにはまった者です。この面白さを皆様にもお伝えしたくて、二軒茶屋餅角屋本店の会長・鈴木宗一郎さんと社長の成宗(なりひろ)さんへの取材をnoteにて綴ることにしました。 「憚りながら口上」に替え、なぜ伊勢の郷土史に惹かれたのかをプロローグとしてしたためました。 「本編(鈴木さん親子のイ

    • 二軒茶屋餅もの語り【6】未来へつなぐ物語

      角屋2つ目の家業、昔ながらの醤油づくり宗一郎さん: そやで、昭和19年から28~29年ぐらいまでお餅屋さんはお休み。原料があらへん、仕事があらへん。その間は、醤油の商売をしていました。醤油は必需品やもんで。  ―――お醤油は、戦時中に始めたのですか? 成宗さん: いえいえ、醤油や味噌の醸造は、大正12年(1923年)ごろの創業です。18代の鈴木藤吉、私の曾祖父さんに当たる人です。17代・18代・19代が3代続けて藤吉と申しまして。何か新しい事業を始めようというときに石鹸工

      • 二軒茶屋餅もの語り【5】角屋の昔ばなし

        二軒茶屋の物語を伝える民具館―――本店の道挟んで向かいにも、古くて立派な建物がありますね。 成宗さん: これもうちの建物で「民具館」と呼んでいます。元々は蔵やったんですけど、父が骨董好きなのと、お客様に見ていただくために、昭和57~58年に改装して展示館にしました。ここにあるのは全部うちにあったもので、多分江戸時代ぐらいの物から、私の代でも使っていた物まであるんです。見てみますか? ―――ぜひ拝見したいです。この民具館は、一般公開しているんですか? 成宗さん: 本店が開

        • 二軒茶屋餅もの語り【4】昔ながらの風情

          なぜ毎月25日は「黒あんの日」なのか宗一郎さん: 変な話やけど、うちの親父(19代・藤吉さん)は厳しい人で、お客さんから「おいしいな。これ東京に持って行くから、もうちょっとくださいな」って言われたら、「いかんもん。東京へ持っていくんやったら、返してくれ」って言って。「そんな遠くに持っていくもんと違う、腹へ入れて持って行ってくれ」って。お客さんとけんかしとった。 ―――厳しいですね!でも、できるだけ美味しく食べてほしいという思いだったのでしょうね。 宗一郎さん: 生餅づくり

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        二軒茶屋餅もの語り【0】プロローグ

          二軒茶屋餅もの語り【3】 受け継ぐ生餅

          茶屋の縁台でお餅をいただく最高のひと休み成宗さん: せっかくですから、どうぞ、うちのお餅を召し上がってください。 ―――ありがとうございます。いただきます。 成宗さん: 柔らかいんで、楊枝だと食べにくいですよね。手づかみのほうが食べやすいと思うんです。 宗一郎さん: 昔、梅宮辰夫さんが取材に見えた時、お話しながら食べられたもんで、きな粉を吸い込んでむせましたんさ。梅宮さんが「この餅はむせる餅ですな」って言うもんで、「手でこう半分に折ってキュッとして、両側へこう持って、こ

          二軒茶屋餅もの語り【3】 受け継ぐ生餅

          二軒茶屋餅もの語り【2】 町衆の伊勢

          商業都市・伊勢を支えた大動脈、勢田川の役割成宗さん: 勢田川を上がっていくと「河崎」という昔の問屋街があるんですよ。 ―――河崎、ですか? 成宗さん: 当時の河崎は、各地から船で運んだ物資を荷揚げして山田・宇治へ運ぶための物流の拠点でした。だから、昔の伊勢の大商人さんは大体その河崎にみえたんです。 ―――確かに、伊勢のような一大観光都市には、物流も重要ですね。 宗一郎さん: ここら辺は神領で、どこの幕府にも藩にも属していませんから、いわゆる殿様が治めているのと違って

          二軒茶屋餅もの語り【2】 町衆の伊勢

          二軒茶屋餅もの語り【1】 舟参宮の道

          船着き場として賑わった港町「二軒茶屋」 ―――今日はお話を伺う機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。 「二軒茶屋餅」は、二軒の茶屋から始まったのですか? 成宗さん: ええとですね、この店の後ろに勢田川が流れているのですが、当時は芦原だった船着き場に、私らの創業者である「角屋」と、もう一軒「湊屋」という茶屋ができまして、誰いうことなくこの地を「二軒茶屋」と呼ぶようになったと伝えられています。そこで出される当店のお餅を「二軒茶屋餅」というようになった

          二軒茶屋餅もの語り【1】 舟参宮の道