ミンク

何年か昔 何かどこかで 何か詩の賞を頂きましたが 何だったか もう さっぱり 忘れてし…

ミンク

何年か昔 何かどこかで 何か詩の賞を頂きましたが 何だったか もう さっぱり 忘れてしまいました

最近の記事

夏の青色

湯船に広がる青い粒。バスソルトが好きだ。 正確には、「バスクリン」なのだが。 大人になって「ちょっと良いところ」で買ったバスソルトを使っていてもいつも思い出すのは、夏祭りで浴衣を着る前に、必ず入れられたお風呂のあの匂いだ。 浴衣なんて年に何回着るだろうか。1回着れば良いところだが、母は、昔学んだ着付けスキルを存分に発揮して私たち姉妹に毎年浴衣を着せてくれた。昔はクーラーなんてものは一般家庭になかったので、浴衣を着る前は汗を落とすためにお風呂に入れられた。なぜシャワーじゃない

    • ある夏の日

      小学生の夏は、いつもまーちゃんと川へ遊びに行っていた。 何てことはない。田舎は川へ行くことくらいしか、やることがないのだ。 いつも行く川は、道路脇のガードレールから鉄の「階段」がぶら下がっていた。「ハシゴ」ではなく鉄でできたちゃんとした「階段」が、ガードレールの足元に太い2本の鎖で巻きつけられていた。なぜこんなところに階段が、まさに取って付けたようにぶら下がっているのか、いつからある階段なのか誰も知らなかった。使い方は、ガードレールを乗り越え、滑らないようにへっぴり腰で下って

      • 獣のように

        日常が端からほろほろと崩れ落ち 己の輪郭も溶けて ゆっくりと風景に混ざっていく 良い時代はあっただろうか さぁて どうだろう 獣のように 必死になって 餌を狩る その形が 少し変わっただけ おしゃべりに夢中のヒヨドリ達が 今日も騒ぎ立てている 眉をしかめながらも その声に安堵する 人間はいつの時代も 獣のように

        • 聖歌

          天使が降りてくる 白い衣に身を包み たどたどしい羽ばたきで懸命に それは、 希望か絶望か 子供でなければ 消え去る翼 流れる血 折れる骨 それでも、やめない。 飛ぶことを。 誰も知らない 美しい 一瞬のきらめき 群衆は 何も知らず ただ手を合わせ 涙を流した その中に 天使はいたか どうだろう、 いたかもしれない 翼のない天使たちの 悲鳴が聞こえたか

          貝のように

          もう 見たくないんだ 聞きたくないんだ 話したくもない。 聞きたくもない声が ずっと頭の中に鳴り響いて ずっとずっとうるさい。 苦しくなるの 分かっているのに 苦しい話に首を突っ込んで いつも怒っている もう ほっておいてください そこでずっと喧嘩しているのは 誰。 頭の中で 大騒ぎをしないでほしい。 流れが早くて 流されて もう、 貝のように ちいさく 口を閉じる

          貝のように

          【エッセイ】ほぼ日手帳のカバーについて

          数年、「ほぼ日手帳」を愛用している。携帯をiPhoneにしてから実質紙の手帳は必要がなくなった。カレンダーシシテムや日記機能などはぶっちゃけ携帯の方が便利だ。それでも毎年「ほぼ日手帳」を買ってしまう。ほぼ日を初めて買ってから数年後に「ミナ ペルホネン」の手帳カバーを買った。予約購入抽選販売だった。記憶が確かではないが15,000円を超える高級商品だった。手帳カバーごときに1万円を出すのは馬鹿馬鹿しいと思ったが、抽選なので買えない確率も高い。もしも当選したら買ってやってもイイ、

          【エッセイ】ほぼ日手帳のカバーについて

          嘲笑

          誰かが言った 誰が言った 知らぬ者に耳を傾け 知る物に耳を貸さず 誰かが言った 誰が言った ほんとに言った 言った言わない 言葉の刃は出されたまま 出したら出しっぱなしで 置きっぱなし 誰かが踏んで怪我をしようと 知ったこっちゃない 踏むのが悪いと 嘲笑い 誰かが言った 誰が言った 誰も言っていないのに。

          叫び

          うだる暑さに 辟易していた頃 突然の風に 身を震わせ 一瞬のうちに 変わった季節に 焦りを覚えながら 突然奪われた温度に まだ、私は、 夏に居たかったと 叫ぶ 失ってから 知ることの多さよ。 いつだって 今あるうちは 学ばない。

          祭り

          熱狂と熱気と 何年振りか 忘れてしまっていた 祭りのうるささと これがなくては 生きていけないかのよう 集まる人々 エゴだろう エゴで良い 波に飲まれないよう 我が子の手を引き 離すな 離すな ひたすらに 何度も振り返り 何度も繋ぎ直し ただ熱狂の中に 狂気と狂喜 熱に浮かされて

          お前、 嫌いだよ 虚空に向かって 何かを切り付けなければ 進めない 変形するほど 噛み締めた 奥歯は いつの間にか 骨となり 己となって 怒りも また 己自身を 切り付けながら 己を形成していく 腹を立てねば 生きられぬ お前、嫌いだよ 鏡に向かって 何度も

          笑うな

          自分が1番不幸だと思えるほど子供ではなく 唾棄すべきことに微笑むほどは大人でもない そうだよな つらいよな 怒ったり泣いたり無関心な振りをしたり 大人ぶったりしているだけで 何とかだましだましやってきた 確立された 仏のような態度を取ることもできず その時々で 怒ったり 笑ったり なんとも人間らしいではないか。 泥臭さを笑うな みっともなさを笑うな 自分を、笑うな。

          終焉

          早い早いと 気づけば 半分 ますます ますます 置いてかれ いつの間にやら 引っ張られ 引きづられ 生きてるつもりで 生かされ 生きて 気づけば 半分 もう終わり 焦って ジタバタ 前ばかり 足元見ないと もう終わり

          王様

          おうさま、おうさま はだかのおうさま いつのじだいも かわりなく いつもじぶんと かんけいないと はなたかだかで どんなにまもられているか しらず おうさま おうさま はだかのおうさま もちあげられて わらわれて しらずしらず じぶんはりっぱと しんじて しあわせに しあわせに まくをとじる おうさま おうさま しあわせな おうさま さぶんと おちる

          狭間に

          夢か幻か 今現実に生きているのか 混乱の最中 誰か言った 我思う故に我有り、と まことか まことか 記憶が薄れゆく狭間で 朧げに思い出すのは 誰の顔か 事切れるその日 夢現に あなたの顔を 思い出せるだろうか

          灯火

          あなたは とても苦しんでいて もがいている 殻を脱ごうと けれども 誰もあなたを理解しない 苦しんでいるのに 息もつけないほど 何も分かってくれないと 混沌とした世界に叫びながら あなたは少しずつ大きくなっていく 苦しみの中 あなたの わずかな灯火になれたら良い 育ててやったなんて そんなおこがましい事は言わない あなたの人生に 記憶に 少しでも残れば 私は生きたかいがあるのだ

          夏になったら

          降り注ぐブーゲンビリア 焼き付く肌に 冷たい井戸の水 喚き立てるセミの声に 誘われ 深く深く 裏山に沈み込む 通り過ぎる風に 何か言われたような 突然訪れる 静寂に 慄き 握り締めた祖母の腕 もう戻れぬ 夏の日に 照り返す 太陽に

          夏になったら