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「レガシー」とやらについて①

◎レガシー(legacy)「遺産」、「伝統」、そして「次の時代に受け継がれていくもの」を指す。

“ギャンブル依存症対策の今後は?”と読売新聞2024年6月5日付長崎版で大きく紙面をさいて報じていた。これは、2024年ギャンブル等依存症問題啓発週間(5月14日~5月20日)期間中、5月19日(日曜日)に(公社)ギャンブル依存症問題を考える会、並びにNPO法人全国ギャンブル依存症家族の会からの依頼に応じ当院で開催されたセミナーを取材しにきた記者が書いたものだ。掲載のセミナー会場写真は(~5月19日長崎市で)とのみ紹介されているが、当院が会場とし提供した病院1階ホールである。

★レガシーって→「独自の判断」で「長崎モデル」

小見出しに~「長崎モデル」構築 不透明~と。なるほど、実は2018年(平成30年)、当時県の障害福祉課長より依存症対策の取り組みについての相談があった。それが、この「長崎モデル」構築についての相談だったんだろう。そこで、私は彼に二つの提案を行った。「一つは、今行っている県の依存症対策を『白紙』にすること」、「もう一つ、私が手引書を作成して県に提供する」と。一つ目の提案は、2024年5月6日のブログ(note)「どうする依存症対策①」でもふれている現状の諸々の依存症対策の不備、問題点を私は当時から指摘していた。だが県の支援センター等が、その効果には疑問があるマニュアル化、パッケージ化のプログラムの提供を可としており、その流れを止めるべきだと思ったからである。ただ『白紙』にする以上、代替えが必要だ。そこで、私は二つ目の提案として、これまでの私の体験を踏まえた手引書作成を約束した。障害福祉課長は、私の提案を持ち帰って実現に努めてくれた。しかし、兎にも角にもスタートしていた「長崎モデル」とやらを『白紙』に戻すのに相当苦労したようだ。そのためか、彼は課長着任わずか一年で他の部署へと異動になってしまった。そうだとしたら張り切っていたのに気の毒なことをした。それで私はというと、約束通り自費出版本「依存するということ」を書き上げた。ところが県当局は課長も変わり、「独自の判断」で私の小著は完全無視、「長崎モデル」とやらの構築を進めていったようだ。だが、未だに不透明とは如何なものか。しかも同じ記事の中で、~誘致で得た依存症対策の知見は、県と同市(佐世保市)が言う「IRレガシー(遺産)の一つである」~と。レガシーですか、何処が?何が?

★居場所

昨今、「ヤングケアラー対策」、「孤独・孤立対策」等の支援体制の一環として、行政もメディアもやたらと「居場所」、「居場所作り」といったワードを使いたがる。
以下記事より~誘致先の佐世保市では、22年度から民間に委託して相談窓口を開設している。・・・ ・・・佐世保市の相談窓口は今年度も継続しているが、来年度以降は未定だ~と。記事にある「相談窓口と専門医療機関」の一覧表に佐世保相談室と並んで眼鏡橋相談室が掲載されている。この眼鏡橋相談室は、別に公表することでもないのだが、私、西脇個人の所有物件。2015年西脇診療所閉院後、長崎ダルク(民間)に模様替えを任せ、立派な相談室に・・・そして現在に至り、これからも末永く使用してもらうつもりだ。もちろん、居場所の提供である家賃はいただいてない。また、医療法人志仁会西脇病院においても表1にある黄色に塗った箇所は民間団体(自助グループ・家族会)に居場所として利用いただいている。それも全て無料。居場所について、そんなことこんなことが大事だと書いているのが小著「依存するということ」。そうそう、私が思い描く「レガシー」とやらについてもふれている。次回以後の『「レガシー」とやらについて②』『「レガシー」とやらについて③』も読んでいただきたい。とくに『「レガシー」とやらについて③』は小著「依存するということ」からの抜粋。

【表1】西脇病院 治療プログラム一覧(R6.1~)

★「九州地方依存症対策ネットワーク協議会」について

  • 小見出し~県「オール九州前提崩れた」~と。何で?? 同記事で、全国ギャンブル依存症家族の会・福岡代表の方が次のように指摘している。~(誘致の段階の)県の姿勢は『あれも、これも』と無理しているように見えた。地に足をつけてほしい~と。おっしゃる通りだ。確かに、すぐ消える打ち上げ花火をあれもこれもと粋がって上げていただけだ。そんな地に足がついてない「長崎モデル」とやらの取り組みは、まさしくウィークネスフォビア(弱者嫌悪)と言っていいだろう。

  • 一方、当方は微力ながらその「オール九州」にお役に立てればと依存症対策、そして働く人のメンタルヘルスの問題について財界誌「財界九州」に不定期ながら掲載を続けているのだが・・・・・・。

以下、依存症対策に関する対談
一般社団法人ギャンブル依存症問題を考える会 代表 田中紀子
VS 医療法人志仁会西脇病院 理事長・院長 西脇健三郎
財界九州2016年11月号

NPO法人チューリップ会 長崎ダルク代表理事 中川賀雅
VS医療法人志仁会西脇病院 理事長・院長 西脇健三郎
財界九州2019年11月号

★もう一つの県当局の「独自の判断」について

怖かった。背後に反社団体が、と・・・⁉

★多額の税金を費やし~

長崎新聞「論説 リスク背負い臨む難しさ 長崎IRの報告書」2024年6月9日付
「~~(抜粋)カジノにはギャンブル依存症という負のイメージも付きまとう、本県が挑むことは野心的であった。~~(結び)ただ多額の税金を費やしたのに、県がホームページで報告書を公表する際、記者会見などを通じて県民に積極的に説明する姿勢を示さなかったのは理解に苦しむ。」(堂下康一論説委員)

★結論

他人のふんどしで相撲を取ろうとした「裸の王様」

「依存するということ」 著 西脇健三郎 幻冬舎 2019年2月

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