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依存の「見える化」が鍵
「『社会的人間』と『依存症』~ギャンブル依存症の理解の前に~」
私たちの4人に1人が、うつや強い不安といった精神的な不調を経験しているのはなぜでしょうか。「ヒト、コト、モノ」という言葉がありますが、歴史をさかのぼると、人類は人や物、さまざまな行為をよりどころとしながら進歩、発展してきました。しかし近年、それらへの指向が過剰になり、絆やつながりを強く求めたり、物への執着であったり、賭け事などの行為に傾注するようになりました。
依存とは、それらの行為への執着が制御不能となること。目に見えないものであり、本人が自覚していたとしても「不道徳」という後ろめたさや「ふしだらな人間として見られたくない」といった世間体や見えの意識が働くことも依存状態が長期化する大きな要因です。依存症が「否認の病」といわれるゆえんです。
そのためには、依存状態を客観的に見詰め、本人や家族が周りとの「ずれ」を自覚するためのきっかけが必要です。家族や本人を支える自助グループに参加してみることから始めてみるのも良いでしょう。
最初は面白くないかもしれません。それでも、参加者のさまざまな体験談に触れることで「もしかしたら依存した状態にあるのかもしれない」という気付きにつながることもあるのです。そこで初めて「自覚」が生まれるケースがあります。
急がず、時間をかけて、依存しているということを「見える化」し、否認している状態を解きほぐすことが大切です。やがて、依存から少しずつ抜け出して、新しいよりどころを見つけていくのです。依存することと、自らがよりどころを納得して〝選択〞することには大きな違いがあります。
最後にアルコール依存から立ち直ったある女性の事例を紹介します。32年前に退院した彼女は、幸いにも俳句の世界に自らのよりどころを見つけることができました。「蝉時雨 同じ日付の 墓ばかり」。このような句を読んだ彼女は「善きこと悪しきこと、山あり谷あり。古希も過ぎ、もうしばらくは忙しく生きられると思います」と話していました。
依存症に対する向き合い方は、急がなくてもいいということ。「いい(良い)加減」と感じることができる新しい居場所、よりどころを本人、そして家族や関係者とともにゆっくりと見つけていくことから始めましょう。
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