結婚式はいいもんだ
最近は写真だけで結婚式を挙げないカップルも増えました。
晴れがましいところで自分がスポットライトを当てられるのが照れくさくてとても耐えられないという男性もいます。
結婚式なんておカネがもったいないと言う人も。
花嫁は今までにない根性を出してその日のためにダイエットをします。
仲人になる前2年ほど花嫁の介添をしていたことがあります。
毎回幸せのおすそ分けをもらって楽しい仕事でした。長時間の仕事は結構重労働で、腰の強くない私は、何度か痛めて、足を引きずりながら帰宅するありさまでした。
夜中には足全体がこむら返りみたいになるのです。ふくらはぎだけでなく太ももがぎゅうっとねじれて悶絶状態。うなるだけでおさまるのを待つしかありません。
でも次の仕事が入ると夜の激痛も忘れて花嫁さんのお世話にまい進します。
式の数時間前から花嫁の準備が始まります。「お支度が出来ました」と連絡が入るとお迎えに美容室に行きます。
ウエディングドレスの花嫁と初顔合わせ。初々しい恥じらいが微笑ましく、
後ろからドレスの裾を上げて進むのですがその中腰も中々堪えます。
教会で式を終えるといよいよ披露宴です。
その前のブーケトスは若い独身女性の楽しみの一つです。それを受け取った人は次に結婚できる!クールなキャリアウーマンも名古屋巻の派手なギャルも空から舞い降りるブーケ目指して両手を上げます。キャーと歓声が起こって写真に納まります。
いよいよ披露宴。扉の向こうで待つ二人は緊張とワクワクが相まって落ち着きません。
高らかな音楽とともに登場!スポットライトが二人を照らして宴の始まりです。
二人が寿席に向かってゆっくり歩きだしたのと同時に腰をかがめて先回りします。暗い中小走り状態で。
ケーキ入刀、緊張も解けて宴は賑やかで、招待された人も親族ももちろん新婚さんも顔がほころんでいます。
まもなくお色直し。花嫁が退席してしばらくは会場は食事に舌鼓を打っています。
誰もが笑っている。こんな空間はそうそうあるものではありません。
足はパンパンで腰もがたがたですがその中にいるだけで結婚式ってやっぱりいいなあと思ったものです。
最後を締めくくる花嫁から両親への手紙。披露宴のクライマックスです。新婦の涙ながらの姿は毎回胸が熱くなりました。
私も手紙を読む娘の姿を「とうとうここまで来たんだ」と思いながら聞いていました。父親の代わりに大泣きの兄が傍で立っています。
いろんな家族が花嫁を送り出します。数分のドラマですが凝縮された濃い時間が流れます。
私の時も同じように母が花束を抱えて白いハンカチが妙に目立っていました。父は目をつぶったまま顔は少し上を向いていましたっけ。
同じようなことが結婚式では繰り返されています。ここでも繋がりがあります。
一度はあの純白のウエディングドレスを来たいと女子は夢見てきました。
この先二人はどんな道を歩むのかは誰にもわかりません。誓いのための式ではなくて、ここまでたどり着いたそれぞれの家族の一つのけじめでもあるように思えるのは私だけでしょうか。
やっぱり式を挙げて良かった。両親に恩返しができたとみんな優等生な答えです。一番満足したのは一日スポットライトを浴びた花嫁だということは間違いありません。