ジェットコースター人生その8
二件目は鉄板焼きの店になりました。
もともとのお店を最初は居抜きで始めることにしましたが、やはり
使い勝手が悪いのと今までにない内装の店にしようということで、
当時流行りのプールバーのように照明を落として、中央で調理する
シェフをライトアップしました。メインはお好み焼きと鉄板焼きでネーミングもあれこれ考えた末「世界のお好み焼」とし、日本なら豆腐と明太子、
キムチとおもちの入った韓国風、カレー味のインドテイスト、コーンとベーコンはアメリカ、などなど。
特に広島風お好み焼きはこれでもかというほどキャベツの入った人気商品になりました。
グルメ雑誌にも掲載され関西のお好み焼き特集の番組でも紹介されました。
毎日多忙を極めましたが、やりがいのある仕事でした。
主人も40歳手前の年齢となり、家族のことも考えて、健康管理には人一倍気を使っていました。ある時診断で胆石が見つかりました。
急な激痛で入院する羽目になってはと、悩んだ末の入院手術となりました。
10年以上突っ走ってきて「少し神様が休みなさいと言ってくれたのかもしれない。」
と主人は自身に言い聞かせて入院の準備を始めました。二つ店の留守は私に任されました。少しの間やればいいのだと軽く引き受けました。
しかしその後主人がサイホンでコーヒーを点てることも鉄板焼きの店で接客することもありませんでした。
自分には巡ってこないと勝手に思い込んでいた別れは突然やってきました。