お婆さんと犬っていいもんだ
毎朝散歩の最後のコース。
時間が合えばおばあさん2人と出会います。出会うというよりは、待ち伏せしているニケですが、今か今かと待って明け始めた朝もやの中、二人の姿が見えると馬?のように走って迎えに行きます。
お二人は大きな声で名前を呼んでパンパンと神社で拝むみたいに手をたたいてこちらも小走りで…。ニケも尻尾を振ったり少し先まで走ってまた戻り早く早くと横で促します。
お二人のポシェットの中には、わざわざ買ってきてくださった犬用のおやつが入っています。
犬仲間の中には、食事制限や、添加物を気にする、ダイエットに気を使う飼い主もたくさんいて、おやつをくれることを嫌がる場合もあります。
それは飼い主だけで、それぞれの犬はちぎれんばかりに尻尾を振って、愛想を振りまいています。強制収用みたいに引っ張られて、後ろ髪引かれるではないですが、名残惜しそうにその場を去っていきます。
それ以上におばあさんたちのがっかりした顔がなんだか寂しそうです。
ほとんどの人が自分の小さな時、犬や猫がいて、その話はそれぞれの心にちゃんとしまわれていますが、よく似た犬を見るとついつい…。
田舎では野放しでご飯の時間になると帰ってくる。お人形の代わりに背中におんぶして遊んでいた。いつの間にか居ついて子猫が生まれていてその世話係で大変だった。
そんな話はたくさんのシワが物語る人生の中でも楽しい思い出の一つだったことが分かる優しい顔です。
「おやつを買ってくるのも楽しみの一つ」「飼えないけれど毎朝会うために早起きしてるのよ」
ニケがそんなおばあさんたちの元気に一役買っているのなら喜んで頂戴します。
ちょっと量が多い時は朝食は控えて調整します。
今朝はスズメも来てすでにベンチ上の桜の枝に鈴なり状態です。
鳩もやってきて、お婆さんは鳩には厳しく追い払います。
何度も手を打ったり払ったりと追い払うのですがそこは鳩もごはんにありつくのに一生懸命です。
そんな時はニケが追い払いに走っていきます。「賢いねえ」と褒められると一つ二つおやつが増えるのが分かっているのでお茶の子さいさいと言ったところです。
少し腰を痛めたといいながら今日も会えたと喜んで、帰って行かれました。
会えないとちょっと寂しくて何か物足りないのはニケも私も同じかもしれません。
今は老人ホームでもホスピタリティー犬がやってきたり、身の回りの世話をしたり、なじみの盲導犬は周知となって犬に話しかける人もいなくなりました。
動物を抱くことで気持ちが安定するという結果も出ているようです。
いつまでも犬と暮らす生活を実現できている私は幸せ者かもしれません。