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2024年に見た映画・読んだ本
年末年始。
noteに三つ記事を書くといいことがあると聞きまして。
2024年に見た映画と本について遅まきながら記録しておこうと思います。
映画ベスト8
見た映画はNetflix、Amazonprimevideoを含めて29本
映画館には基本一人で行くので自分の趣味となりますが反対に配信のは家族が見ているのに便乗する形になることがほとんど。
感想等記録できてないけど見たらフィイルマークスに登録してます。
順位をつけて並べました。
PERFECT DAYS
何も言わないから何もないわけじゃなくて。善い行為、がしたい。
善いものの中に身を浸けて洗われたい。
もしかしたら外から見ると回避的な生き方と映るのかもしれないけど、でも、真実、タイトル通りだなって。おすすめ〜。
窓ぎわのトットちゃん
大人として向き合うことになっても、同級生として過ごすことになっても正直「うわーめっちゃ困る」なんだけど、でもキラキラして見えるの。
守られて欲しい。
環境を選べた子の向こうにそうでない子の姿も浮かぶ。
哀れなるものたち
映像がとんでもない。
世界を身体感覚で理解していくベラが恐ろしく逞しい。
感情に惑わされることなく(感情はあるんだけどでもかなりドライだ)彼女は支配を拒絶する。
夜明けのすべて
上白石萌音さんがすごく良かった。
思いやるとか優しくするってこういうことじゃんって思う。
瀬尾まいこさんの原作はまだ読んでないんだ。
かづゑ的
ハンセン氏病のため10歳から家族と離れて施設で暮らすことになったかづゑさんの人生を振り返るドキュメンタリー。
大好きな家族のために、自ら施設へ行きますと言った子供のかづゑさんの、幼子のように生涯家族を慕いつづける気持ちに胸を打たれる。
「恐れ」の気持ちが暴走すると人は人を思いやれなくなるなと思うなどする。
関心領域
人の無意識はちゃんと自分の行為がどういう意味を持つのかわかっている。だからこそ自分を欺くことなく善い行為を選択することが大切なんだ。
相手のためにも自分のためにも。
けれどそれを選択することができなくて濁ってしまう。
濁って、麻痺して酷いことができるようになってしまう。
コール・ジェーン
女性の身体は誰のものか。
どうして自分よりまだ生まれていない子供を優先することが当然とされるのか。(命懸けで産むことが美談のようになるのはなぜ)
男性に女性の話としてではなく「男性が子供を宿す世界だとして自分が主人公のような目に遭うとしたら」と思って見て欲しい。
とてもグロテスクなことだとわかると思うから
ボーはおそれている
こうなったらどうしようの妄想を炸裂させてさらに上をいく、悪夢のような映画。
ボーは自分では周囲の何もコントロールすることができず、あらゆる干渉を受けまくる。自立の一歩、選択できたという喜びもみんな悪夢になってしまう。恐ろしすぎる映画。
次は本。
本ベスト14
読んだ本は読書メーター・電子書籍はブクログに記録しています。
読メはバーコードだと登録しやすいんだけど、アプリの検索で該当の本がうまく出てこないことがあって(特に電書だけのは)
今年はBookwalkerのコインをくれるイベントに乗せられて読書メーターの感想書きも頑張れました。
読書メーターの記録が121冊 ブクログは3冊。8冊やった。
戦争における「人殺し」の心理学
まさかこの本を今年のイチオシにすることになるとは思いもよらなかった。
ガチの軍人で心理学者の筆者が戦争で人を殺すということについて分析した本。
第二次世界大戦とPTSDを多発させたベトナム戦争の何が違うのか、人は人殺しという自分自身を肯定できなくなる経験をどう受け止めるのか。深く理解できる一冊。
日本を含め加害の歴史を認めることが難しいのはなぜかがわかってくる。
戦争はいかんよマジで。勝っても負けても心は損なわれる。
プリズン・サークル
犯罪を犯した人たちの背景や考え方、どのように回復を目指し社会の中で生きていけるようにするのかについて考えさせられる。
加害を心から認め、償い、自分の人生について考えはじめるためには、どうしてもまず加害者の中にある被害感と向き合わなくては進まないのだということが読めばよくわかる。
しかし加害者の中の被害感など取り扱うとそれを言い訳にして、犯してしまった加害に向き合えなくなるのではないかと一般的に抱く心情(怒りや恐れ)もわかる。
それでも、被害者への償いのためにこそ、加害者の真の更生、自分の人生を生きる力を得ることが必要で、それには加害者の中の被害者性を認め、加害者自身が自分の人生について見つめ直すことが欠かせない。自らの加害に胸を痛め、苦しむことができるのはその先だ。
犬のかたちをしているもの
小説ってこういうふうに書くんだなって思う。
高瀬隼子さんは本当にすごい。
明確に言葉にした瞬間にこぼれ落ちるものをモヤっとしたまま、でも表現してしまうから。
こんなの一生できそうにない。(にけらったーも一応小説書きなので、憧れてしまう)
タイトルも最高。
ケアの倫理
ケアワークが低賃金なことと、女性の無償労働(家事・育児・介護・地域活動やPTA等)が関連しているという気づき。
資本主義が取りこぼしているものについて考えないと、だいぶまずい世界になってきた気がするよ
でも政治的に左の政策は誰かの機嫌を損ねる(資本主義的なパワー)ことで圧を受けて市場経済を悪くする結果になるのが現実で……この「誰か」に阿らざるを得ないのが現在地なのかって感じ
正体
エンタメとして最後まで目が離せなかった。ネタバレしたくないからアレだけど、ものすごく辛い話だよ。
鏑木の人間性がものすごいなと思う。どうすればこう育つんだろう。
彼が経験値のない、守られるべき子供だったってことがとても辛い。
映画は見ていないよ。
99%離婚 離婚した毒父は変われるか
漫画。シリーズ二作目。(そういえば漫画はどこにも記録してないな。結構読んだけど)
一作目がめちゃくちゃ良かったので二作目も手に取った。
前作は加害者変容についてだったが、今作は加害の連鎖。被害者の自分自身との戦い、変容した加害者を許すべきなのかどうなのかについて描かれる。
『プリズン・サークル』で感じたことと同じことを思う。自分の中の被害感・被害者性に向き合えないから加害者になるんだよ。
雨の日の心理学
心理学を学んだことはないけど本は結構読んできていて、ユングとかフロイトとか心理学者さんのいろんな考えをざっくり網羅的に見てきたと思う。
その中でも知っておくと「心に雨が降っている人」を見分けたり、そばに置いてもらえたりする大事な理論をわかりやすく書いてあって、すごくいいなと思った。
特にケアとセラピーについて明確になるのがよい。(私はケアがとても苦手)
妻はサバイバー
妻が精神障害を抱える。それを支える新聞記者の夫が書き手。
使える社会資源をよく知っていて、知識も助けを求める力も人一倍ある筆者が、それでもどんどん追い詰められていく様に、この世の中にいる知識も力も持ち合わせていない一般の当事者やその家族はどうしているのだろうと思いを馳せる。
家族に何かがあったとき、身内が中心となって抱え込み支えるのがデフォルトなのが、無理すぎるんだよとも思ってしまう。(これについては子供の頃からずっと思ってきたけど、改めて)家族では感情が潰れる。壊れる。
なのに社会で支えるようになってないのが恐ろしい。
人口減少でこれからはますます手がなくなるんだろうな。
読んでいて頭の中に流れていた曲はこれ↓ 米津玄師 がらくた
福田村事件
福田村事件の被害者である香川県側の調査をしていた石井雍大先生は私の恩師。
そのため高校時代に刊行された彼の著書『青い目の人形』を読んでこの事件や調査のことは知っていた。
知っていたけれども記憶の奥底に沈んでいた。
改めて調査にあたった人たちの信念の強さに圧倒される。
調査もされず、現都知事などから事実をなかったことにされかけている在日韓国人の被害、歴史にも自然と目が向く。
社会人の生き方
新聞記事をきっかけに暉峻 淑子さんのファンになり数冊一気に読んだ。
1928年生まれの著者のこの本から私は「大人になるということ」についてはじめてきちんと教わったような気がする。
もう立派な中年なのに、自分が大人をやっている子供みたいに思えるのはなぜか、少し見えた。
よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門
タイトルと表紙にウエッとなる人は多いと思う。特に男性は嫌な気持ちになるに違いない。
この装丁で男の人が手に取るとは思えない。
でもこの本は男性をこそ救う、男性のための男性学の本だ。
「男はこれだから〜」という大きな主語で個人的に責められていると感じてしまうのを堪えて、そもそもの構造に目を向けることができたなら受け止め方はだいぶ変わる。
女性も、構造の中で男性がなぜ無自覚になるのか、女性が配慮し動く羽目になるのか、そして対立させられるのか、構造に対する知識を共有することができると罠にハマらずに済むかもしれないと思った
イスラエル 人類史上最もやっかいな問題
アメリカ在住のユダヤ人によるパレスチナ問題の本。
にけらったーは世界史を先行してないのもあって、パレスチナ問題を理解するのにいくつかの本をあたったがなかなか理解するのが難しかった。
同じユダヤ人でもどのような経緯でどこに辿り着いた人なのかによっておそらくかなり見方は違うのではないか。(ユダヤの人にもホロコーストを経験して生き残り散らばった人の子孫であるとか、親戚がイスラエルにいるかいないか、もっと以前からアメリカ、または別の文化の国を拠点としていたとか立場がかなり違ってくる)
また日本人と違い、キリスト教もユダヤ教もイスラム教もかなり生活の中に宗教が入り込んでいる(お祈りの時間があったり、週末は必ず教会へ行くなど)
書き手やインタビューを受けている人がどのようなルーツを持つどのような立場の人間なのかを思いながら読むとわかりやすい本だとは思う。
いろんな考え方、活動をしている人の言葉が聞けるのが本書の良いところ。
パレスチナの民族浄化
こちらもイスラエル人による本。イスラエルの大学に勤めていた研究者だが、今は海外へ拠点を移していたはず。
個人的には『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』よりもこちらの本の方が何が起きていたのか詳細に調査されていて理解も納得もしやすかった。
タイトル通りの強烈なイスラエル批判。
民族浄化というのが大袈裟ではないことが理解できる。
ガザの民間人を犠牲にすることを厭わないのも民族浄化という言葉から理解すれば、なるほどと思えてしまう。
このような調査をパレスチナ人の手では行うことも発表することもできない現状なのだとも思う。
パレスチナ問題について私があたった本はいずれもイスラエル人かパレスチナにルーツを持たない外国人(日本人を含む)の書いたものだった。
勇者たちの中学受験
泣いた。
小説「翼の翼」も読んだし、漫画「二月の勝者」も読んだけど。
その子らしい受験を経験できたケースと、資本主義という大人の都合、エゴに子供が道具にされ、傷つけられるケース、そこからどう回復したか。読みながらどこで、どこから子供が不在になったのか?と考えるなどした。
また公教育のあり方についてもどうあればいいのか思い巡らせた。「みんな」に向けているものは実は誰にも向いていないのかもしれない。
がんばった〜〜。これで記事三つ!
いいことがありますように。お付き合いくださりありがとうございました。
今年の推しでした。
2025年こそ漫画も記録して語りたいな。(読メは紙、ブクログは電書、雑誌や漫画記録用にしよう)
ではでは! またそのうちに。
……23回書き出し祭りの記事とか文フリの記事とか出るはず。
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