11/5 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』『僕の狂ったフェミ彼女』読了
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』
読了後、メモをとるのに新鮮な時期は過ぎてしまった。それでちょっと何をメモしておこうと思ったのか薄ぼんやりとしたまま書き出している。
ちょうど続けて韓国の『僕の狂ったフェミ彼女』を読んで、韓国のこと、この本の舞台であるイギリスのこと、それから日本のこと、いろんなことを思い巡らせた。
この二作で描かれる物語を、和を尊ぶ東洋人と、個を大事にする西洋人との違いという見方でみることもできるのかもしれない。
でもそういう「違い」なんてことより、もっとはっきりと、なるべくしてなったというか、自然とそうなるしかないじゃんって感じで腑に落ちるものがあった。
『フェミ彼女』ではフェミニストの彼女は韓国で哀れな、狂った存在として見られている。この社会での普通(常識を同じくする)の思想は自然と身につく、あたりまえのもの。女性は女性が望むとされているものを心から望み、男にそれを与えられて喜ぶもの。そうでなければおかしい。韓国や日本の求める「大人になること」は「この社会の普通になること=境界を失い同質になること」のように感じた。
けれど、『僕はイエローで』にはクラスに多様な文化的背景を持ったいろんな人がいる。違っていて当然な社会では、黙っていても疑問を抱くことなく自然と相手が自分と同じ思想を身につけているとは最初から発想できない。
相手が全く別の文化的背景を持った人間だから、言わずとも自然にわかって当然、わからない相手がおかしい、わからせなくてはという考えがそもそも浮かばないのだ。
『フェミ彼女』で描かれたような、自分の考えが普通なのだから相手は当然受け入れるべきだ、わかってない相手をわからせなければ(同じにしなければ)……それが愛でしょう?? などと発想するのは傲慢だということが、すうっと理解できる。
最初から自分が思うように相手も思うでしょとは発想できる「環境」にないというのが当たり前なとこと、そうでないとこがあっただけ。そのそれぞれの当たり前の重なりが歴史、文化になって今生きている「人間」に流れこんでいるだけ。
だから「自分が普通」ではないことを理解して、相手を尊重することを意識すればいい。自分の考えが当たり前だとする癖がついている人にとって、尊重を意識することは簡単ではないのだけれど。まずはその姿勢を意識していこうって思う。わたしもあなたも。
あとほかにもいろいろ思うことがあったワードをメモしておこうと思う。
「自分みたいになるなという大人」の下で育つということ。このうっすらとした期待が、いかに子供が自分らしく生きようとすることを邪魔するかということについて思い巡らせた。
それから「社会を信じる」ということ。これは非常に難しいと感じた。
自分の考えをからにして社会の要請を忖度して動くことと、自分の良心に沿った行動を社会は理解し支えてくれると信じて動くこと。
前者は無責任で自己防衛的だが、後者は社会(他者)を信頼することと、自分を信頼することのどちらが欠けていてもできない。
「(社会が俺の意見を)黙らせようとするんだ」と被害的に感じている人が出てくるけれど、その言葉を発し行動化する人も自分はおかしくない、同じ気持ちを抱える人の後押しがあるはずと信じている。
このような被害的に捉え攻撃欲求を抱えている人や自己防衛的な行動に出なくてはならない人を、悪と断じたり「相手は変えられない」と切り離してしまう人をわたしは信頼できない。
それらを抱えて前進することをイメージする。やっぱりこれはとても難しい、困難なことだが、でも、そうして進んでいくことなんだって思う。
最後にこちらの本はこれで完結。です。
『僕の狂ったフェミ彼女』
ぜひインタビュー記事もどうぞ↓
書きたいことは上記の感想に書いてしまったのだけれど、すこしだけ。
女性の窮屈さについて話す時、被害妄想だ、男の方が損しているという言葉が返ってくるのをリアルにみる。子供たちの間で。
それはきっとおそらく「罪悪感を抱かされた」という被害感からなのだと思う。僕は何もしていないのに、男というだけで責められる、そんな話は聞きたくない、と。責め立てられているわけではなく、授業で学ぶという感情の乗らない単なる情報であったとしても、聞けないのだ。
フェミニズムはそれくらい伝え届けることが難しい。
言い方が悪いといって口を塞がれ、そんなものは存在しないと否認され、対立したいわけではないのに対立構造に持ち込まれる。
聞いてもらえないことに憤りヒートアップする人を捕まえては「女は」ヒステリーと印象付けられ、「これだから話にならない」と相手が耳を塞ぐ理由は女にあるのだと言われる。激しい攻撃にさらされる。攻撃を誘発したのは女だと責任まで押し付けられて。
不公平な現実は何も変わらない。
おそらくわたしは絶望しているんだと思う。ずっとずっと長く。
今日は衣替え。それから設定保存していたサイトのデータをひたすら転記。