モテる女
知人に破天荒な女がいる。
容姿はセント・フォースとかMARCHのミスコンに居そうな清楚な感じ。美人というより可愛い。
もちろん彼女は自分の容姿が良いことを理解し、それを武器の一つとして生きてきたそうだ。
学生の頃からモテてきたのがわかる。
正直なところ見た目に反して品は無いが、容姿の良さに加えてめちゃくちゃ話が面白い。おそらくそのギャップが良いのだろう。
多分高学歴で、職歴も広告代理店や商社など華やかだ。
彼女は現在既婚。幼稚園に通う子どもが一人いる。
夫ももちろん高収入、高学歴、高身長だ。
ただ、夫の顔は好みではないし、恋愛結婚ではないと言う。
何ならこれまでの人生で、好みの顔の男性とは一度も付き合わなかったと言う。
わたしは不思議で仕方なかった。
容姿が良ければある程度相手は選び放題なわけで、好きなように恋愛し、その先に結婚があると考えていたからだ。
しかし、彼女は子どもの頃から母親からある教育を受けていた。
「高学歴、高収入の男と付き合いなさい」と本当に言われて育ったそうだ。
彼女の父親も高学歴、高収入なのだ。
蛙の子は蛙なのだ。
子どもの頃、スーパーで怒り狂ったクレーマーを見て彼女は「なぜ怒っているの?」と母親に聞いたらしい。
すると母親は「お金が無いからよ。お金の余裕は心の余裕なの。ああなりたくなかったらお金のある人と結婚しなさい。」と答えたそう。
こんな教育を子どもの頃から受けていた彼女は、容姿ではなく金のある男を選び続けた。
しかし、彼女は面食いだ。
学生の頃から旧ジャニーズや若手俳優が大好きだったらしい。
ここで破天荒な知人の話に戻す。
前述の通り、彼女と夫は恋愛結婚ではない。
そして彼女は面食いだ。
このよくわからない矛盾のようなモヤっと感は何だろう。
彼女曰く、
「夫は家庭を支える仲間であり、恋愛対象では無い」らしい。
わたしの頭の中は???だらけになる。
彼女は夫以外に定期的にデートするイケメンが何人か居る。
しかし彼女は不倫をしている訳ではない。
不貞行為は無く、定期的にランチをするイケメンがいる。
ママ活では?と思うかもしれないが、彼女はむしろ貢がれる側。
彼女は金持ちを見極める目を持っているので、ターゲットを的確に仕留めている。
もちろん夫にも全部話している。
夫もそれを許しているし、彼女も夫が女性とデートすることを許可している。
ただし、今のところ彼女の夫は彼女以外の女性とデートしていないらしい。
ランチ相手のイケメンも彼女との関係を割り切っているらしい。
彼女は一番最初にイケメンに以下の点を伝えるそうだ。
・既婚者で子どもが居る
・ランチしかしない(彼女は性欲があまりないらしい)
・奢りじゃないなら次は無い
彼女の容姿の良さで許された条件にも思えるが、相手も容姿が良いので関係性はハイスペイケメン優勢で始まる。
しかし、彼女はトークスキルが飛び抜けて高いので、かなり序盤でその勢力図は逆転する。
結果的にこの前提条件の提示は効果的なようで、ハイスペイケメンは彼女をおもしれー女とみなすらしい。
彼女曰く、
「顔だけ良くても金が無いと最悪。変に執着されて訴えられたりしてこっちが金を取られかねない。ランチ代の支払いが一番自分に負担なく相手を見定められる。」とのこと。
彼女は徹底して金が無い男への評価が低い。
そして、理にかなっている。
わたしは彼女から学ぶことばかりだ。
・結婚相手においてお金が重要であること
・自分を安売りせず常に自分の要求を勝ち取ること
・こんな遊びが許される夫婦関係
・イケメンと過ごしたいという欲求を満たす行動力
ただ一つ思うことは、独身時代にやればよかったじゃん、ということである。
彼女なら普通にイケメンの金持ちと結婚できた可能性は高い。
彼女はこう言った。
「結構ビビりなんだよね。自分に有利な恋愛しかしてないから、顔が好みな人と付き合って、上手くいかなくてボロボロになるみたいなの耐えられない。だから好みの顔の人とは恋愛関係に発展しないようにしてる。」と。
これもどこか納得した反面、恋愛観はまじで歪んでるなと思った。
彼女は毎日イケメンとランチをする訳でもないし、家事も育児も仕事もしっかりこなしていて、家族の中で妻、母の役割をこなしている。
そんな彼女が夫の理解のもと、ご褒美としてイケメンとランチを楽しむのは悪いことだろうか。
わたしにはまだまだ不勉強な点が多いが、こういう人が居るということを知ることも多様性かな、なんて思う。
色々な家族の形があるんだな、などと思った。
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