お勉強475:直腸がんTNTにICIの上乗せは?
https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.23.02261
直腸がん術前治療でMSI-Hはドスタルマブのみ、という風潮であるが、
pMMR /MSSの患者で従来のTNTにICIの
上乗せがあるのか?というiTNTについての
ランダム化II相試験(pick the winner試験)
IOはtoripalimab
従来のTNTに加えてICIの上乗せがあるのかどうかを確かめる
というのがエンドポイント。
従来のTNTのCR率が25%ぐらいとして、40%以上を目指す
中国多施設前向きランダム化II相試験
pMMR/MSSの局所進行直腸癌患者
(cT3-4N0 or N1-2患者)
2021年5月から2022年9月まで。
130名の患者が登録、121名が評価対象。(同意撤回とMSI-Hを除いた)
8割ぐらいが肛門縁から5cm以内
患者はランダムに2つのグループに分けられた。
(将来的に勝者がIII相の試験に行くというセッティング)
グループA: 短期放射線療法 (SCRT) の後に免疫化学療法を実施(6コース)
グループB: 免疫療法の前後にSCRTを実施(2コース→SCRT→4コース)
ケモはCAPOX
SCRTはIMRTで行われている。
反応でTMEかW&Wを決定。
反応は導入療法終了4週後に
・直腸診
・内視鏡
・CT/MRI
cCRならW&W
→2‐3か月おきに最初の2年はチェック(上記3つを)
3年後以降は3-6か月おきにチェック
放射線の完遂率は両群とも100%
6コースの薬物療法の完遂率は
グループA:74.2%
グループB:86.4%
完全奏功率 (CR):pCR+cCR
グループA: 56.5%
グループB: 54.2%
病理学的完全奏功率 (pCR): 両グループともに50%
臨床的完全奏功率 (cCR):
グループA: 43.5%
グループB: 35.6%
W&W群は両グループともに、16名
1例ずつregrowth(両方とも肛門括約筋温存手術)
副作用
主なグレード3〜4の副作用は血小板減少症および好中球減少症
血小板減少症の発生率・好中球減少の発生率は
グループA: 24.2%・11.3%
グループB: 33.9%・5.1%
iTNTレジメンは、
歴史的なデータと比較してpMMR/MSS LARCのCR率を著しく向上
毒性も許容範囲。今後の試験には、cCR率が高く、
副作用も少なかったグループAが選択。
TNTvs.iTNTのIII相を予定しているよう。
通常のTNTにIOののせるiTNTは期待できそう、という結論。
(従来のSCRTのTNTのCR率より10~15%高い)
OPRA試験のようなデザインでやったらかなりの群が
直腸温存できる可能性が示唆されるわけで、
直腸がんに手術を行わない手段の模索は
さらに進んでいきそうです。
Discussionは結構読みごたえがあるので
この分野好きな方は一読を薦めます。