お勉強:247 ASCO-GU膀胱温存ネタ②
ASCO-GUから 膀胱温存療法と膀胱全摘療法の比較
純粋なランダム化比較試験も計画されたことがあるようだが
他の分野と同様に、全然症例集積が進まなくて ぽしゃったようです。
そこで、同時期(2005-2017)の両療法をマッチして解析
基本として膀胱温存療法に適した
・cT2-T3
・水腎症がない
・単一病変でTUR-Btがしっかりできた
・CISがない
・膀胱機能がちゃんとある
・ちゃんとフォローを受けてくれる(細胞診・画像)
症例を解析.
マッチする因子としては
年齢・性別・cT・周術期ケモ BMI・PS・喫煙歴
(マッチングする前は手術群で水腎症や手術期ケモが多かったと)
OS・がん特異的生存・無遠隔転移生存率
骨盤リンパ節転移無し生存率を評価
3:1(834 全摘 vs 282 温存)のマッチコホートで評価。
いわゆるサルベージの全摘は13%
手術vs.温存で 5年時点で転移無し生存、(73 vs 78%, p = 0.07),
遠隔転移無し生存 (78 vs 82%, p = 0.14)
リンパ節転移無し生存 (96 vs 94%, p = 0.33) は優位差なし
膀胱がん特異的生存と、全生存は温存有利
(78 vs 85%, p = 0.02; 70 vs 78%, p < 0.001). という結果。
(2つ目のリンク参照ください)
ただし、20.5%で非筋層浸潤再発が温存群であり。
参考として手術症例の結果
最終的な病理学的Tは pT0 14%, pT1 7%, pT3-4 42%,
平均リンパ節郭清数が40で、陽性率 24%. 周術期死亡 2.1%
筋層浸潤がんでも対象を選べば、十分全摘に匹敵するのでは?
というのが主旨のよう。
標準治療というわけではないが、代替治療として提示されるべきと
いうのが発表者たちの結論
時期的なものもあると思うが、ちょっと周術期死亡が
高い印象(まぁ、危険な手術の一つであるのは承知だが)
ロボット手術でだいぶ低侵襲になっていると噂では聞くので
全摘の成績はもう少し改善してそう。
ただ、この発表で提示している
・cT2-T3
・水腎症がない
・単一病変でTUR-Btがしっかりできた
・CISがない
・膀胱機能がちゃんとある
・ちゃんとフォローを受けてくれる(細胞診・画像)
という人はもうすこし積極的に温存療法(部分切除含む)
をやってもいいのでは、と思う。やはりQOLの低下は
それなりに大きい。
日本ではまだ未開拓な感の温存治療の一つと思う。