お勉強251:放射線治療の免疫療法への上乗せは?
https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(21)00658-6/fulltext
https://www.cancerit.jp/71258.html
PD-1/PD-L1に抵抗性のNSCLCに対して
デュルバルマブ+トレメリムマブ併用
(つまり、CTLA-4の上乗せ) が効果があるか、ということと、
これにRT(0.5Gy/Frでやるのと8Gy/Frでやる2arm)を 併用することで、
(要は狙って)上乗せがあるかを見た試験。
3群に分けた試験だが規模としては小さく各群N=26
結果としては、まず3割の患者さんが病勢コントロールができ、
1割が長期奏功した。
(つまり、PD-1/PD-L1抗体の薬で進行した患者でも
CTLA-4抗体±PD-1/PD-L1抗体が効くことがある、ということ。
メラノーマでも似た報告はあるらしい)
よくある腫瘍組織のサンプルでTILが多いとよく効く、と報告
…という結果は実はメインではなく、
本来見たかったのはRTの上乗せだったのだが
放射線治療医としては大変残念なことに
残念ながらどちらの放射線のarmも上乗せ効果なし
(ただし、どの群もこの治療以前に7割ぐらい放射線の既往がある)
筆者たちはこの辺りは効く・効かないどちらも報告があるし、
併用薬剤や、Frなどの組み合わせはこれから模索されるだろう、
と優し目にディスカッションしている。
サンプルサイズの小ささもlimitationと。
他のスタディーも併せて照射部位のCD8陽性のT細胞は増えるが、
全身のリンパ球が減るのも認識されていて、その兼ね合いもあるかもと。
なかなか我々が思っているほど放射線治療の免疫療法への上乗せは
そう簡単には出ないのかもしれません。
ただ、実経験の臨床感覚でも
「おぉ、なんか免疫療法単独では出ないくらいの効果が!」とか
「あれ、放射線後の人はなんか臨床試験で
言われているより効いている気がする」
「PD-1抗体効かなくなって照射したらアブスコパルでた」
とかあるので、
何かしらの相乗効果はあるのだとは思うのですが、
臨床試験で狙うと出ないので、不思議です。