お勉強382:進展型小細胞肺がんでも胸部照射は有用
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10320989/
いわゆる免疫療法時代のCREST研究
※https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25230595/
がCREST研究。 結構生存曲線は微妙だが、
一応長期生存のところで差がついている、
という解釈になっている。(ちなみにPCIもしている)
・CREST研究では、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の患者に
対して、胸部放射線治療(TRT)を加えることにより
生存率が改善できる可能性が示されている。
・現在の標準治療となったPD-L1阻害薬による免疫療法が
行われるようになった時代においては、TRTによる生存成績の
改善効果に関しては議論がある。
(本文では肺臓炎や、免疫細胞へのRTの影響を挙げている)
・免疫療法の併用が行われたES-SCLC患者を対象として、
TRTを追加することの安全性と有効性を検討した。
・2019年1月-2021年12月の期間に、ES-SCLCに対する
1次治療として
デュルバルマブまたはアテゾリズマブと化学療法の併用が
行われた患者を対象とした。
・TRTの施行の有無により患者を2群に分けて比較を行った。
・傾向スコアを用いて(1:1)の割合で患者のマッチングを行った。
以下が調整因子:年齢・性別・PS・体重減少・喫煙歴・脳転移
肝転移・転移個数・アテゾリズマブかデュルバルマブか
・主要評価項目:無増悪生存(PFS)、全生存(OS)、
安全性(肺臓炎)
・211例の患者を登録。
・70例(33%)に対しては標準治療に加え、
1次治療としてTRTが行われていた。
(同時:33% 逐次:67%:全例IMRTっぽい)
照射線量は
30 Gy/10f (19.2%) ・45 Gy/15f (21.1%)・50 Gy/25f (21.1%)
60 Gy/30f (38.6%) 照射中央値は50 Gy
(結構がっつり言っている印象)
・141例(67%)のコントロール群では
化学療法とPD-L1阻害剤併用による標準治療が行われていた。
・傾向スコアマッチング前はTRT群のほうが、肝転移が少なく、
免疫療法の維持サイクルが多く、転移個数が少なかった
・傾向スコアマッチング後、57ペアの患者を解析した。
・コホート全体において、PFSの中央値は、
TRT群 9.5ヶ月、胸部非照射群 7.2ヶ月
(HR 0.59, 95% CI 0.39-0.88, p=0.009)。
6か月PFS:
TRT群 80.0% (95% CI 65.8–88.2)
胸部非照射群 61.4% (95% CI 47.6–73.7) (p = 0.041)
12か月PFS:
TRT群 31.6% (95% CI 20.3–45.4)
胸部非照射群 14.0% (95% CI 6.7–26.4) (p = 0.026)
・OSの中央値は、TRT群 24.1ヶ月、胸部非照射群 18.5ヶ月
(HR 0.53, 95% CI 0.31-0.89, p=0.016)。
・多変量解析では、
治療開始前の肝転移と転移の個数(3個以上)が
全生存の予後因子であることが示された。
※転移個数が多いとTRTの上乗せはかなり減ってくる
・TRTにより治療関性の肺炎のリスクの上昇(p=0.018)が
見られたが多くはグレード 1-2の有害事象であった。
(TRT群35.1% 非照射群15.8%)
薬物か放射線かどちらかが原因かは発現時期で
おおむね決めたよう
(薬物は開始後2M程度・放射性肺臓炎は6M後程度)
G5の薬剤性肺臓炎が1例、
G3-4で治療を中断した例が3例あったと
・ED-SCLCで、1次治療として化学療法とPD-L1阻害薬併用が
行われた患者において、TRTが行われた患者で
有意に生存成績が良好であったという結論
・肺臓炎に関しては
TRTにより治療関連性の肺炎の増加が認められたが、
多くは対症療法により改善していたという結論
※CREST研究と異なり、化学療法でPR/CRになった
群以外にもRTしている
(これのほうがよいかもしれぬと個人的には思う)
※ディスカッションにも書かれているが最適なRTの線量・Frは不明
日本ではあまり行われていないES-SCLCへの
照射だが、JCOGさんが試験始めています。