お勉強503:T1 high risk 膀胱がんに対する膀胱温存治療

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.23.02510


膀胱がんは基本筋層浸潤したら、膀胱全摘
膀胱温存希望されたら、膀胱温存療法
というのが一般的だが

非筋層浸潤がん(T1)でも膀胱全摘が
選択されることがある。
(高リスク群、上皮内癌が多数ある場合)
BCGで粘ることもあるそうだが…

今回T1ハイリスク症例でBCG治療が無効だった
標準治療では膀胱全摘が推奨される場合の
膀胱温存療法
(TUR-BT+ケモ+RT)の成績を探るためのII相試験
こういった試験は今までなかったらしい

線量は61.2Gy/34Fr 3DCRT
全膀胱+骨盤リンパ節(閉鎖・腸骨LN)41.4Gy/23Fr
全膀胱Boost19.8Gy/11Fr
ケモはCDDPかMMC/5-FUから選択

フォローは
1年目は3か月おき
2年目は4か月おき
3‐5年は6か月おき
それ以降は一年に一回

主要評価項目は3年の膀胱全摘回避率

その他としては
・5年の膀胱全摘回避率
・局所再発率
・遠隔転移率
・全生存率
・治療関連有害事象
が評価項目

37人が登録され、34人が解析対象
観察期間中央値5.1年
年齢中央値74歳 男性が31/34

膀胱温存率: 3年時点で88%の患者が膀胱を維持

局所再発率:3年32%(3~4年あたりでほぼプラトー)
再発なし生存率: 2年55.9% 5年32.4%
遠隔転移率:3年12%・5年19%
18人が死亡 3年までに5例が尿路上皮癌で死亡
8人尿路上皮癌で死亡(12例が局所再発)
生存率: 3年全生存率は69%、5年では56%。
膀胱がんでの死亡率は5年で25%
(膀胱がん死亡も、OSも膀胱全摘のデータとほぼ同等らしい)
有害事象: G3以上の有害事象は18名。主に血液毒性

今後の課題
・より良いフォローアップ体制は?
・TAR-200を使った試験でこの群はかなりの効果が得られている

・なんだかんだでOSはだらだら下がっていくので、
 全身療法の発展は課題
・論文では膀胱温存治療後アテゾのアジュバントの試験
 Southwest Oncology Group/NRG Oncology 1806
 が登録も完了しており、それにも期待と。

個人的にはロボット手術で膀胱全摘は低侵襲化
しているとはいえ、膀胱温存療法は
希望がある治療と思います。


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