PACIFIC2 ネガティブの理由を考える

PACIFIC2 がネガティブであったことは
以前にレポートした

今回、詳細なスライドなど出たので、
再び再考

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/news/202403/583699.html

が安定の日経メディカルさんまとめ。


KMなどを含めたスライドは以下参照

日経メディカルの記事にもあるが、
いわゆるイミフィンジコンカレント群のほうが
・男性
・Sq
・PD-L1<1%
・T4
が多く
EGFRが分からない患者が4割ぐらいいる。
(アジアからの参加者が3割から3割五分いることを考えると
 結構これは致命的な点と言える)

https://twitter.com/DoctorDietrich/status/1770848903765668327


以下雑感と考察
・PFSでは有意差は出なかったものの、
 一応デュルバルマブ群が上に来ているのに、OSでは
 最初にデュルバルマブ群が落ちていっている

※どう解釈すべきかは難しいが、「死ぬ」もDFSのイベント
 なわけで、コントロール群の群は「進行しても死んでいない」
 人が多い、ということを示唆している。

※4か月までの中止はデュルバルマブ群が多かった(約三倍)
 結論でも中止や、死亡に至ったものはデュルバルマブ群が多い、
 と結論付けられている

※その一方で、肺障害はほぼ同等であったよう

※4か月以内の死亡増加の原因は感染症?
 とされているが…?

※PFSではサブグループ解析の結果、
 65歳未満、欧州、ターゲットが450cm3未満の患者で、
 デュルバルマブ群の方が有意に良かった、一方でOSに影響はなかった

※おそらくPACIFICと異なり、OSに差がつかないのは
 進行してもICIのサルベージが効いていることにあると
 個人的には考えている。

※となると、そもそも論として「RTとICIをコンカレントにする」
 ことはメリットがそんなにない、ということなのだろう
 (有害事象が増えるだけ?)
 この辺りがケモと異なるのかもしれない
 (ちなみにORRもプラセボ群と変わらない)
 
※PCIFICと冷静に比較してみると
 ・デュルバルマブ群のPFSが著しく悪いというわけではないと思う
 →そもそもPACIFICはCRTでPDになっていない群でそこからカウント
  なので、実質3か月分ぐらい上乗せがあるわけで、
  その中でPFS中央値13か月は充分であろう

 ・OSも上に書いた「プラセボの底上げ」と「EGFR unknown」
  の影響と考えて、テールあたりを見るとプラセボも
  3割五分ぐらいのところにある。

 →CRTにICIの上乗せがあった、という前提が間違っていて
「ICIでCRT後の治療が改善された」というのを「アブスコパル効果」
とか言って騒いでいただけ、ICIの力がCRTで増強されていた、
というのは真実ではなく、CRT後の成績が悪かったのを
ICIが救ってくれていた、とPACIFICの結果は考えるべきなのかもしれない

CRT+ICIは結局のところ良い相乗効果を生み出すのではなく
悪いほうの相乗効果が出てしまった、と取るべきではないのだろうか。

CRT後ケモをコチョコチョしても変わらなかったのが
なぜか?という問題はあるが、ICIはその「何か」を
破壊するパワーがあった、という事実を再認識しただけなのかもしれない。

そして、CRTはICIと併用するメリットは乏しいのかも。

とにかく「アブスコパル効果」信仰の終わりなのかもしれません。
私が悲観的なだけかもしれませんが。

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