お勉強103:喉頭がんレビュー④

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32244899/

<まとめ>
外科的および放射線技術は進化しており
新しい抗がん剤治療は局所領域治療を改善し、
生存率に影響を与えている
このレビューでは過去20年に治療された患者に限定し
外科的・非外科的なものを比較した文献に
焦点を当てることを試みた。
それにもかかわらず
これらの研究に含まれていた患者のかなりの数は、
ここ10年程度の新たな治療を含まない研究であった。

腫瘍学的および機能的な
T1-2期の喉頭癌における
経口的レーザー手術と放射線治療の比較は
以前に発表されたメタアナリシスがある。

一方で、最近のエビデンスでは
局所進行喉頭癌の管理については、
改善の余地があり、複数の治療選択肢を組み合わせ
喉頭食道機能障害が残らず、全生存も良い
最適な患者選択を行っていくことが必要である。

(アメリカの社会経済的問題についてかたられているが略)

全体的には局所進行喉頭がんにおけるにおける
外科的治療法と非外科的治療法の間の
生存率と疾患特異的生存率の差は縮まってきている。

それにもかかわらず、
T3-4aにおける喉頭部分/全喉頭切除術と
アジュバント治療に比べCRTは腫瘍学的転機で
優位性を示せていない。

多くのエビデンスが、
臓器温存療法はT4a喉頭がんにおいて
優位に結果が悪いと示しているが、
外科的サルベージが
安全なバックアッププランとして提供されていない
可能性がある。

一方で喉頭を温存するために放射線治療を先行する戦略は
喉頭(部分)切除術→アジュバントの治療と比較して、
T3や適切に選択された機能の高いT4a症例において
腫瘍学的アウトカムは同等であると考えられる


現代的なopenまたは経口的ロボット治療での
臓器温存手術は高レベルのエビデンスは欠如しており
非手術的モダリティとの
腫瘍学的および機能的転帰の観点からの比較は
具体的な結論を導き出すことはできない。

しかしこれらの手術戦略は、
選択された症例で、熟練した術者の下でなら
喉頭を温存し、CRTを避けるという点で
良い選択肢かもしれない。

しかし、線量と照射体積は
RTを先にする場合ととアジュバントRTとで
ほとんど変わらないので、
喉頭部分切除術後にアジュバントRTを
必要とする患者さんは、RTを先行した場合と
ほとんど同様の毒性を被ることになる。
このため、喉頭部分切除術は
アジュバントRTを省略できる可能性のある患者に
適応とされるべきである。


現代の外科手術
(臓器温存手術、経口腔的ロボット手術)と
現代のイメージング技術に支えられた
非外科的モダリティは、適切な臨床試験での検証が
必要である

<結論>

T1-2N0M0の喉頭癌
(1) 経口的レーザー手術および放射線治療後の
腫瘍学的/機能的転帰の同等性に基づいて、
意思決定を共有することが最も重要である。

(2) 最新のイメージングモダリティを利用し、
最新の経口的手術とより精密な照射技術を
比較する研究が必要である

T3-4aN0-3M0 喉頭癌

(1) T3喉頭癌に対する外科的方法と
(喉頭部分/全喉頭切除術)非外科的治療法については
一般的に同等と認識されている。

(2) T4a喉頭癌の患者には、
救済手術という誤った希望を持って
臓器温存化学放射線療法を行うべきではない。
補助的CRT/RTを併用した喉頭全摘術を行うべきである

(3) 三者併用治療は二者併用治療が可能な場合には
避けるべきである
(例えば、積極的な補助療法を省略できない場合には、
T3腫瘍に対する喉頭部分切除術をするべきではない。

(4)喉頭温存が有益な患者を特定するためには、
適切にバリデーションされた予測マーカー/アルゴリズム
が必要である

(5) 画一的な治療戦略を提供するのではなく、
患者を中心とした治療をよく相談し、ともに決定していくべきである。

(6) 裏付けとなるエビデンスの欠如を認識しつつも、
経験豊富な頭頸部外科医の下では
特に補助CRT/RTの回避が現実的であると思われる場合に、
open/ロボット臓器温存手術を選択して
実施してもよいだろう。

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