お勉強237:膵癌術前治療

個人的膵癌術前治療雑感も含めて

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.21.02233

オランダでの即手術vsGEM+RT(2.4Gy*15Fr)
のランダム化比較Ⅲ相試験。
https://note.com/nijuoti/n/nebaea62dc6ab
これの論文化

CRT群は術前腹腔鏡をしています
R0はヨーロッパ的な断端1㎜以上
R0率はITTでCRT群41%
即時手術群 28%
(日本のon inkではどうなのか、逆に
 日本でこの基準ではどうなのか、は気になる)
腫瘍サイズも縮小。
リンパ節転移や神経・脈管浸潤は大きく減る

CRT群では手術したうち81%がアジュバントへ(ITTでは46%)
うち62%が完遂
手術群では79%がアジュバントへ(ITTでは51%)
うち54%が完遂

全治療コースでCRT群では77% 手術群では51%が
1サイクル以上のケモを受けており、(優位差アリ)
トータルでのケモの量もCRT群で高かった。

3年および5年の全生存率(ITT)は、
術前CRTで27.7%および20.5%
即時手術では16.5%および6.5%であった
切除可能ではHR 0.79、95%CI 0.54~1.16。
ボーダーラインではHR 0.67、95%CI 0.45~0.99、P=0.045

カプランマイヤーではMST時点ではほとんど差が無く、
一年目ぐらいからじわじわと差が広がっていく。

一応「膵癌」と診断された人が対象だったが
最終的に病理が覆った人もおり、膵癌の診断は
なかなか難しい。

※ディスカッションや
https://note.com/nijuoti/n/nb336c150d558
も参考にして個人的意見としては

・術後ケモの試験は手術ができた人が対象なので、
 術前治療のITTとは比較は難しい。

・時代的にしょうがないとはいえ、GEMのみはやっぱりきつい
→ならばRTせずがっつりケモのみの方が良いという報告もあり
→線量増加の余地はある。36Gy/15Frはさすがに少ない

・しかし、近代的な照射法と組み合わせてがっつりケモ
 するのは可能という方向もある、しかしあてる範囲をしっかり考える必要がある
→R膵癌にはRTいらない?BR-URのみCRTというのが
 今後の流れか?(この論文でもRは差がついていない)
 個人的にはBR-URの原因になっている部分と、そこにつながる
 神経叢の部分をしっかりあてていくのが大事なのでは?と思っている
 原発もあてるに越したことはないが、手術前提なら原発は
 前方浸潤や胆管・十二指腸方向などは
 そこまで気にしなくてもいいのでは?と思っている。(後方は大事)

ちなみに、ケモは同様にGEMですが、
線量を上げてIMRTで照射している京大のBR-Aの
成績が先日publishされました(こちらもITT解析)
https://link.springer.com/article/10.1186/s12885-022-09244-6
成績は線量増加(42Gy/15Fr)のせいもあるのか、やっぱりよくなってます。
特に局所制御がかなりいい。

・この試験も同様だが、最初にガタガタと落ちていくのは
 やっぱりしょうがない。直腸がんとは方向性が違うがTNTというか
 がっつりケモ→CRTというのが、やはり考え付くが、
 https://note.com/nijuoti/n/nc782153cfa2e
 と、(SBRTですが)pCRは増えるのに、R0は減り
 成績は悪くなるるという
 謎の報告もあり、いろいろ悩ましい。

・ただ、臨床試験で出たエビデンスのある
 プロトコールを実臨床(特に一般病院)で
 やるっていうのは結構厳しかったりする

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