お勉強276:前立腺がんサルベージネタ

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)01790-6/fulltext

SUPPORT trial
(前立腺専門でないのと、統計解析が難しすぎて
 不明確・不正確な点があったらごめんなさい)

いわゆる前立腺全摘後のサルベージRTの話
イントロダクションによると
確実に言えることとしてPSA再発時のPSAが
低い間にサルベージRTをするのがよいが、

初期治療ではエビデンスのあるいわゆる短期の4-6MのADT
をするのが良いのか、より良い照射はあるのか、ということを
調べたい、ということで研究を行ったとの事
(似たような試験は同時に走っていたよう)

前立腺全摘後、PSA再発(PSA0.1~2ng/mL)を対象に
(平均0.5程度、中央値0.3程度が結局入っている)
1:前立腺床照射のみ
2:前立腺床照射+短期のADT
3:前立腺床照射+短期のADT+骨盤照射
の3群比較試験
線量は1.8Gy/Frで64.8-70.2Gyの照射
骨盤照射は45Gyまでやって、最後は前立腺床に照射

前立腺床のコンツールは
Michalski JM et al.
Development of RTOGconsensus guidelines for
the definition of the clinical tar volume for
postoperative conformal radiation therapy for prostatecancer.
Int J Radiat Oncol Biol Phys 2010; 76: 361–68

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19394158/

にそって行われたとの事
(普通に参考になります。openです)

骨盤リンパ節は
閉鎖、外腸骨、内腸骨(起始部の方)
仙骨前、総腸骨を血管を参照に。
上部はL5–S1

ADTはMABのようです。

骨盤リンパ節転移の証拠がなければ
郭清しても、郭清してなくてもOK
pT2-T3でGSが9以下 PS0-1が対象
ランダム化は
・PS
・精嚢浸潤の有無(約15%がpT3b)
・PSAが0.1~1と1~2
・pT2とかマージン陰性かとかの病理学的背景(50%margin+)
・GS7以下と8/9か
を考慮して行われた。
3群は非常にバランスよくランダム化できている。

患者の年齢の中央値は64歳
IMRTの使用率は88%程度(2008-2015に治療されている患者の報告)
照射線量の中央値は68.4Gy

プライマリーエンドポイントは5年時の進行
(PSA ナディア+2≧ng/mL)・局所、領域、遠隔転移、もしくは何らかの死亡

期間は2008年3月から2015年3月まで 脱落を除いて1716人を3群に分けた。
統計解析は複雑すぎて私には理解できず
5年目の中間期間解析で3は1より優位に5年時の進行改善。
8.2年の中央観察で3が2よりも優位に5年時の進行改善。(ギリギリの差)

5年時の進行の優位因子として
・サルベージ開始時のPSA
・pTStage
・GS
・年齢
・人種
を調整したHRでも上記の結果は動かず。
PSAが中央値より低い場合には骨盤照射の優位性はでず。
ただ、ADTの上乗せは示された。
PSAが中央値より高い場合は傾向としては骨盤照射優位だが、
差は優位ではなかった。

遠隔転移発生率は3が一番少なかった。
3と1の間には優位差有。

サルベージADTまでの期間は3>2>1で長い傾向(優位差有)

OSはこの類の試験にありがちな「差なし」

ADTを使う事で、局所・領域再発が減少。
特に3で上乗せが大きかった。

急性期有害事象(血液・消化管毒性)は3が一番多い。晩期有害事象としては
骨髄機能が3が2に比べて悪かった。(骨盤照射のせいと思われる)

今までの前立腺床だけの照射では5年で35%、10年で50%再発していた。
(この試験では前立腺症だけの照射30%、ADTを加えることで20%程度になっている)
今までにADTを加える試験としては短く加える(6ヶ月)
長く加える(2年)の報告があり、進行を抑えることが報告されている
長期ADTでは生存も改善することが示されている。
今回の試験でもADTの有用性は示されたのではないかと考えている

かつて別の試験で、骨盤照射の有用性が示唆された試験はあるが、
腫瘍量の多い(直腸診で触れるような腫瘤がある)症例は今回は
その試験とは違いenrollしていない。

この試験ではPSAが低い場合でもADTの上乗せが示されているのが
従来の試験とは異なる点である。

全体としては骨盤照射の上乗せはベースラインのPSAが高い場合に
前立腺床のみの照射と比べ有効性はみられているが、
ADTを上乗せした場合の2と3の間の差は微妙である。

ただ、サルベージRT後のサルベージは
3>2>1の順で減っており
その点は注目すべき。

いろいろ注意すべき点はあるが、今後は
サルベージの際は骨盤照射+ADTが標準治療と思われる.

<以下二ネタ目>

と、この試験でもとになった
RTOGconsensus guidelines

ですが、

https://twitter.com/CalaisJeremie/status/1536777273495494656
https://www.snmmi.org/NewsPublications/NewsDetail.aspx?ItemNumber=41010

前立腺がん術後PSMA再発のコンツールのRTOGガイドラインは
PSMAーPETの結果で見ると大分外れている、
という記事。なかなかうんちく深い。

直腸前壁をかなり深くまで含むのが大事そう。
手術操作をよく知らないのだが、
この辺りまで剥離するのだろうか。

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