お勉強485:真打登場!LD-SCLCの予後を変えるADRIATIC試験!

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2404873

https://x.com/OncBrothers/status/1834676438148026424


ADRIATIC試験
ESMOにあわせてNEJMで発表

詳細は

も参考にしてください

上のところでも書きましたが、
LD-SCLCに対しては
1999年にTurrisiが出した
一日二回vs.一日一回
の試験でポジティブな結果が出て以来

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199901283400403

III相のガチンコ勝負で
勝った試験はASTRO2024で発表された


があるものの、PFSはかなり疑惑の
長期では差がついていないというもので
一日二回照射前提、というのも
国によっては枠の問題で難しく
日本ではまだhyperの分化が残っているが
欧米などでは(みなし標準の)
一日一回照射66-70Gyという感じのようである。

そこにきてやっとこさIII相文句のない勝負結果。

ちなみにイジュドとの併用はオープンにされていないだけ、
と書いてあるが、どうなんだろうか…
(一応この論文は一回目の中間解析の結果、とある)

PACIFIC同様、LD-SCLCのCRT後PDでない患者を
プラセボかデュルバルマブを2年、(一か月おきの投与のよう)
という試験デザイン 
ダブルブラインドランダム化III相比較試験であります。
プライマリーエンドポイントはOS/PFS

2018/9から2021/8までの患者が対象
264人がデュルバルマブ群、266人がプラセボ群
年齢中央値62歳
68.5%が既喫煙者 22.3%が現喫煙者
87.4%がStageIII
66.2%がCDDPベースの化学療法
一日一回照射が72.1%(60-66Gy)
一日二回照射は45Gy
54.8%がPCIを受けていた

観察期間中央値37.2ヵ月で
MSTはデュルバルマブ群では、55.9ヶ月 (95%CI:37.4ヶ月-NR)
2/3OSが68%、56.5%
プラセボ群では、 33.4ヶ月 (95%CI:25.5-39.9ヶ月)
2/3OSが58.5%、47.6%
HR:0.73 P=0.01

PFSの中央値はデュルバルマブ群16.6ヶ月(95%CI:10.2ー28.2ヶ月)
プラセボ群 では9.2ヶ月(95%CI:7.4ー12.9ヶ月)
HR:0.76 P=0.02

PFSは打ち切りが多いが、重なることなくtailが出ている印象
両群1.5年ぐらいからプラトーな感じ
もう少し熟したら分からないが…

フォレストプロットはすべてでデュルバルマブ群の恩恵あり
PCIFIC同様、早めに投与した人の方が効果は高そう
(これはPACIFICでも言われているが、バイアスの可能性もある)

気になる肺炎は
デュルバルマブ群の38.2%
プラセボ群の 30.2%
で発生
G3以上は
デュルバルマブ群で 3.1%、
プラセボ群で 2.6%
と大差なし
(日本人サブセットの解析が待たれます)


ESMO情報では
PCIは約半分が受けており、PCIなし群のほうが
デュルバルマブ群の恩恵が大きそう
(フォレストプロットで見るとまた印象が違うが…)
プラチナ製剤がカルボプラチン群のほうが
デュルバルマブ群の恩恵がかなり大きそう
(というか、シスプラチン群がイマイチ効いていない)

→遠隔転移に効いてくるのかな、という印象。

ちなみに全体的にはPCIを受けている群のほうが
生存は長そうです。(バイアスはあるでしょうが…)

ESTRO schoolの演者も言っていましたが、
HRが非常にPACIFICと似ており、
この成果はRTとICIの相乗効果によるもので
ある可能性を筆者らも指摘している。

どちらにせよ、アジュバントデュルバルマブが
今後のLD-SCLCの主軸になっていくのは
間違いなさそうです。

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