お勉強477:食道温存の最適ストラテジーとは?

https://www.redjournal.org/article/S0360-3016(24)00752-1/abstract


の論文化

切除可能な食道扁平上皮癌に対して
臓器温存療法として、今あるエビデンスとしては
JCOG0909がある。

https://jcog.jp/document/s_0909.pdf

https://note.com/nijuoti/n/necc5fb29ecea

が、サルベージは避けたいし、
導入化学療法でセレクション
(IA期にダウンステージした著効例にCRTをする)
というケモセレクションの試験。
(多施設第II相単群試験)

放射線治療医としては
今まで上咽頭以外で、導入化学療法をして
温存率が高くなった臓器はないので、
できれば避けたいデザインではあるが…

切除可能な食道扁平上皮癌が対象
IBも含んでいる。cT4は除外
いわゆる1109のDCFレジメンを行って、
内視鏡・CTをして
ステージがIAにダウンステージしたら、

JCOG0909レジメンへ。(50.4Gy)

※転移リンパ節は短軸で1cm以下で陰性との定義

主要評価項目は、
DCF療法およびその後のCRT後の著効例における
1年無増悪生存期間(PFS)であった。
副次的評価項目は
3年OSおよび食道切除なし生存期間(EFS)。

90例が解析対象。
DCF療法後、58.4%の患者がCRTに行く、著効群と判定。(PDはなし)
著効群52名中49名がCRTを受け
CRT後、89.8%がdCRT後にCR。

non-CR中3名がサルベージ内視鏡治療
2名がサルベージ手術

局所再発が6例(13.6%)
リンパ節再発が1例(2.3%)
局所再発例4例がいったん内視鏡治療へ
2例内視鏡治療後サルベージ手術へ
結果的に5例がサルベージ手術

追跡期間中央値33ヵ月で、
CRT後の
1年PFSは89.8%(95%CI 77.2%~95.6%)
3年OSは83.7%であった。
(JCOG0502と同じぐらいと筆者らは主張)

※著効群ではない人もCRTを受けた人がおり、
(6名)CR率は50% non-CR中1名がサルベージ手術 

CRTに行った群の1/3年PFSは89.8/70.0%

全解析群の3年OS、EFS率はそれぞれ74.1%、45.3%。

CRTに行った群・手術になった群の1/3年OSは 100%/83.7%・93.1%/62.8%

DCF前とDCF療法2コース後に
FDGーPETを撮っていて
奏効は、OSと有意に関連(p = 0.0049)。

※JCOG0909との比較

JCOG0909・CROCで

対象
年齢中央値 63・67.5
PS0/1 が 84%/16%・48%/52%
Ut/Mt/Lt が 17%/63%/20%・14%/46%/40%
T1/T2/T3 が 30%/22%/48%・2%/18%/80%)、
Stage(6thと7th) IB/II/III 0%/73%/36%・10%/49%/41%

で、純粋な比較は難しいが、CROCのほうが
(個人的には)状態の悪い患者のように感じた。

CRTを行った群のCR率は58.5%・89.8%

全体患者の3年OSは
74.2%(5年64.5%)・74.1%

JCOG0909では94名食道温存に挑んで25例サルベージ手術(26.6%):R0率は76%
CROCでは49名が食道温存に臨んでサルベージ手術は8例(8.9%)
※リンパ節廓清のみのものもある
と圧倒的にサルベージ手術はCROCのほうが少ない、と筆者ら考察にあり。

JCOG0909で「3年」食道温存率は 63.6% (5年は54.9%)
CROCの「3年」食道温存率は 45.3%
とやっぱりインダクションすると、温存率は悪くなる印象。


先日の食道癌学会で食道がんリンクスの方が
「食道がん患者が悩んでいること」
で発表した内容で
1:ダンピング症状
2:体重減少・体力/筋力低下
3:食後の眠気・腹痛・違和感
4:食道狭窄による嚥下障害・誤嚥
5:のどの違和感
6:睡眠時の逆流
などがある、とFacebookで公開されておられて

「食道温存治療には、ニーズはある!」
と勝手にJCOG1109でオワコン扱いされそうな
CRTに希望を感じています。
食道温存の一番良いストラテジーは
どうあるべきなのか、今後
他科とも含めディスカッションが必要ですね。

(胃を温存して回腸や結腸で再建する、
 という方法もありそれだとかなりQOLは良いようです)


※知らんかった!恥ずかしい…

いいなと思ったら応援しよう!