お勉強139:直腸がん、世界はこっち向き
https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(21)00079-6/fulltext
進行直腸がんの「世界的な」標準治療は
術前CRT→TME±アジュバントケモ
である。
(日本はいい意味でも悪い意味でも群雄割拠)
局所再発は明らかに減り、よく効いて
cCRの人にはW&W
(つまり手術しないで様子を見る)
と言うのが世界のフロントラインになりつつある
しかしながら、このストラテジーの
欠点として、CRTしない場合と比べ
「OSが変わらない」
と言うのが常に議論の的となっていた。
個人的には局所再発するとミゼラブルだし、
W&Wの方向性も出て来てるので、
患者さんに欠点を伝えた上で日本でも最低
提示はすべきとおもうのですが、
OSが変わらないなら手術だけでええやん
と言うのもわかる話で。
その原因として端的に言うと「遠隔転移」
が減らせないことが言われています。
(アジュバントのケモもITTだと?みたい)
局所再発を減らせても必ずしも遠隔転移を
減らせない、といういい例でもあります。
というわけで、
CRTに大腸癌のしっかりしたケモを足す、
(いわゆる total neoadjuvant therapy:TNT)
が世界のフロントラインで、それに沿った
カペシタビン併用CRT 50Gy/25Fr
↓
TME
↓
FOLFOX6
をスタンダードとして
その前にFOLFILINOX(FOLFOXILI?)の上乗せをするかしないか
オープン下ランダム化フェイズIII
試験の論文です
ほとんどがcT3/4(byMRI) T4は2割ぐらい
NはN0が10%ぐらい
側方リンパ節は約10%で腫大
サクッと結論を言うと
病理学的完全奏功↑
DFS↑
遠隔転移なしの生存率↑
が、有意差をもって証明され、
OSは有意差ないが、常に上のライン
という結果。
局所制御はCRTが担っているのか
差はなし。
(ケモの毒性なども書いてあるが放射線治療医
としてはしょーりゃーく)
ネオアジュバントケモだけ、というのは
日本では結構論文出ています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28685354/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32743112/
ただ、W&Wの方向性を考えると
時代はTNT、cCRならW&W
と言うのが世界の流れなんでしょう。
個人的には直腸癌は食道癌と似ていて、
進行癌で「結構効くじゃん」
から早期癌への適応が広がり
臓器温存治療の道が開いてくる、
と言うのが個人的予言です。
何度も書いちゃうけど、この流れから見ると
(失礼ながら)
JCOGの側方郭清の試験はセンス無さ過ぎて噴飯物ですわ。