お勉強504:EGFR肺がん、CRT後はデュルバルマブはダメなの?

https://www.jtocrr.org/article/S2666-3643(24)00104-8/fulltext


いわゆるCCRT後のデュルバルマブについて
エビデンスが少ない、EGFR変異の患者に対する報告

2020年4月~2023年3月に韓国での
13施設多施設レトロスペクティブ試験。

デュルバルマブを4Kur以上やっていて
EGFRおよびALKの分子検査結果が
得られている339名が対象
EGFR/ALK野生型(n=279)
EGFR変異陽性(n=41)
ALK陽性(n=19)

評価項目:
無増悪生存期間(PFS)。
全生存期間(OS)
PD-L1発現率別の成績を評価

EGFR変異陽性例の成績
PFS:
EGFR/ALK野生型:21.4か月(95% CI: 17.3–25.3)
driver陽性:21.0か月(95% CI: 15.7–NA)
有意差なし(p=0.74)。

OS:
EGFR/ALK野生型:45.0か月(95% CI: 39.6–NA)。
driver陽性群は中央値未到達。
優位差なし(p=0.29)

PD-L1発現率が効果を予測する重要な因子。
PFSがPD-L1 0%/1-49%/50%< で
13.6/18.7/24.7ヵ月と有意差あり
ステージIIICもA/Bと比べると明らかに悪い

G3以上の肺炎は4.1%

他の試験との比較も込めて考察

PACIFIC試験:
EGFR変異陽性患者の5年OSにおいて有意差なし
(HR=0.85, 95% CI: 0.37–1.97)
患者数が少ない(N=29)ため解釈には注意が必要。

PFSは全体としてはPACIFICより良いが、
この研究はTPS 0の人がPACIFICより少ない
(基本的に0%の人は保険が通っていない?よう)
ので、そういう目で見ると、PACIFICのTPS 1%以上と
ほぼ同等の成績と

LAURA試験:
EGFR変異陽性の局所進行NSCLC患者に対する
アジュバントオシメルチニブ
ICIの後にオシメルチニブ使うとIP好発なので
こちらを優先する人の方が今は多いだろう。

今回の論文では、
EGFR変異陽性患者でのPFSが
EGFR/ALK野生型患者と同等であった。

リアルワールドでは、
デュルバルマブが一部のEGFR変異患者にも有効である可能性
一方で多数の試験で、EGFR-TKI治療後の患者に
ICIの効果は限定的とされており、齟齬がある。

個人的にはdriver positiveの人は
すぐ進行するイメージがあるので
デュルバルマブ4Kurできなかった
(この解析では63人4Kurできなくて除かれている)
この63人中どのくらいdriver positiveだったのかは気になる…

結論としては、このコホート結果から
EGFR変異群でもデュルバルマブを使うことで
メリットが受けれる群が存在する、というがわかった。
一方でこれと反対の報告も多数あり、
どういったシークエンスで使っていくのかは課題のこる。

一般的にはEGFR変異陽性はPD-L1陰性が多く、
その齟齬(おそらく上に書いてあるような、
早期にPDになってしまう人たちが除かれている?)
がこの結果に結びついているのかもしれない

EGFR変異陽性で、PD-L1陽性群では???というのが今後の課題か…

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