お勉強328:オリゴメタとSABR 第二回
https://www.e-crt.org/journal/view.php?doi=10.4143/crt.2022.1460
オリゴ転移とSABRに関するレビュー しばらく連載します
逐語訳+α なので、より詳しく知りたい方は原文を。
10個ポイントを挙げています
1:オリゴ転移の決まった転移数のカットオフはない
2:小規模だがほとんどのRCTが局所治療の利益を示している
3:SABRはエビデンスが最も高い局所治療である
4:SABRで「治る」かもしれない、
5:SABRは通常副作用は許容できる範囲である
6:SABRは費用対効果が高い
7:すべての病変を治療するのが望ましい
8:全身療法とのタイミングや必要性は分かっていない
9:アブスコパル効果に期待するな
10:革新的な臨床試験の立案が望まれる
今回は3-4
3:局所治療のモダリティーとして
SABRはエビデンスが最も高い局所治療である
もちろん、使い分けは重要
オリゴメタのほとんどの試験のモダリティーはSABRや
寡分割のRTである。結果がポジティブな8つの試験のうち
5つがSABRのみ、1つがRFA、2つが手術とSABRのものだが、
最後の2つの試験は、75%が放射線治療を受けていた
54試験のメタアナリシスでは77.8%が放射線治療
46.3%が手術、18.5%がRFAを局所治療として受けていた。
SABRのオリゴ転移治療における優位性はいくつかある
・低侵襲で、外来でできる
・副作用は概して少ない(5章で詳しくのべる)
・一セッション(一治療期間)で複数の部位を治療できる
もちろん欠点もあり、
・手術と違い病理が取れない
・基本的に一部位一回の治療
・IPなどで治療でき無い場合がある
・SABRの治療評価の困難さ(例として肺が挙げられている)
手術の利点としては
・病理が得られ、パネル検査などにもつながる
欠点としては
・適応が限られる
・入院が必要。
・回復までの時間がとられる
Gomezらの試験では、手術でもRTでも
予後は変わらなかった。
RFAやマイクロ波、凍結療法などもある。
利点
・繰り返し使えて低侵襲
欠点
・血管の近く・サイズが大きいなどは×
・局所効果がSABRと比べると乏しい
モダリティーにに固執するのではなく、
多面的な評価が必要である
一般的なPSも良く、腫瘍量も少なく、効果的な全身治療があり
小さい領域のオリゴ転移患者といった
局所治療の良い適応の患者が重篤な有害事象を
おこすことはまれである
4:SABRで「治る」かもしれない。
でもほとんどの患者は新しい転移が出てくる
SABRでのオリゴメタの治療は根治の可能性がある。
SABR-COMETの長期の解析(8年フォロー)
では5年以上再発も進行もない患者が1/5程度で認められた
このプラトーはSABR後4~8年にかけてみられた。
一方でコントロール群では5年以上進行も死亡も
しなかった患者は見られなかった。
こうした結果からSABRは一部の患者群で
根治的な治療かもしれない。
むろん更なる長期の経過観察は必要ではある。
オリゴメタからの進行は急速である。
SABER-COMETの全体でのコントロール群のPFSは5.4ヶ月
SABR群でも11.6ヶ月であった。
前向き試験のメタ解析でもSABRの1年PFSは51.4%であった。
つまり、
半数近くの患者がSABRを受けたとしても1年以内に進行する。
ほとんどの患者は新たな転移を生じる
SABR-5試験は単群2相試験で、381人が組み入れられた
この試験ではSABRをオリゴメタに行うとPFSは15ヶ月であったが、
一方局所制御率は1年/3年:93%/87%であった。
つまり、局所制御にはSABRは有効であるが、
新たな遠隔転移がほとんどの患者で出てくる。
新たな転移が出てきた際にサルベージのSABRを
受けることが可能であり、前述のSABR-5試験では
12%の人が二コース目のSABRを進行部位にうけていた。
それ以上のコースを受けた人も少数であるが存在した
SABRをオリゴメタに受けた患者は画像のフォローを
密にし、サルベージのSABRを考慮するべきと考える
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