お勉強473:膵癌周術期mFOLFIRINOX

https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2820217

膵癌周術期FOLFILINOXの話

非盲検、単群、第2相単施設非ランダム化比較試験
2014年4月3日から2021年8月16日が期間
対象はR膵癌

術前にネオアジュバントmFOLFIRINOX療法を6サイクル
術後補助療法としてmFOLFIRINOX療法を6サイクルう。
(この時点で、日本ではできるひといるのか?…だが)

どちらかというと、こちらが新規性の点ではメインなのだが、
ctDNAを測っている。
腫瘍は治療効果およびケラチン17(K17)発現について評価された。
ケラチン17は調べてみると

こういう報告があり、予後不良因子のよう。

主要評価項目は12ヵ月PFS
その他OS、ctDNAレベル、腫瘍の分子的特徴、K17レベルであった。

46人の患者のうち、
31人(67%)が男性
年齢の中央値(範囲)は65歳(46-80歳)
37例(80%)が術前6サイクルを完了、
33例(72%)が手術を受けた。
27例(59%)がプロトコールに従った切除を受けた
(手術を受けた人の中にはさらに追加で
 より強力なネオアジュバントを受けた患者がいる)
(R0病変25例、R1病変2例)


27例中22例が術後mFOLFILINOXへ
うち19例が治療を完遂

観察期間中央値は63ヵ月 ITT集団で
12ヵ月PFSは67%(90%信頼区間、56.9-100)
PFSおよびOSの中央値はそれぞれ
16.6ヵ月(95%信頼区間、13.3-40.6)
37.2ヵ月(95%信頼区間、17.5-未到達)
2年OSは59% 大体30%ぐらい治っている雰囲気。

術前6サイクルの治療を受けられた患者ではOS中央値46.2ヵ月
術前・術後治療をフルに受けられた患者はOS中央値達せず。

ベースラインのctDNA値は22例中16例(73%)で検出
mFOLFIRINOXを6サイクル投与後では17例中3例(18%)で検出
術後は12例中2例検出
術後の化学療法完遂時も10例中2例検出
切除4週後にctDNAが検出された患者は、
検出されなかった患者と比較して

PFS(HR、34.0;95%CI、2.6-4758.6;P = 0.006)
※HR:34なので、スゴイ差
OS(HR、11.7;95%CI、1.5-129.9;P = 0.02)
が不良

K17が高発現の患者では、(術前の針生検の検体)
PFS(HR、2.7;95%CI、0.7-10.9;P = 0.09)
OS(HR、3.2;95%CI、0.8-13.6;P = 0.07)
が有意差はないが不良。

ちなみに手術検体でも調べていて、
それもK17高発現のほうが悪い傾向
術前のFNA検体では33%(5/15)、術後検体では44%(12/27)の
K17高検出認めた。

成績としては上々で、ctDNAとCK17は使える、という結論。

R膵癌のMST 37.2ヵ月は海外のデータとしてはかなりいい印象。
日本の術前GSに匹敵する
https://report.gi-cancer.net/gisympo2019/articles/189.html
(これ全然論文にならないのが…何か問題あるのだろうか)

K17については全然知らなかったので、勉強になりました。


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