年末恒例、肺がん徒然

肺がんネタを毎年徒然しているわけだが、今年も踏襲。

・III期肺がん

今年は周術期で破壊的にエビデンスが出てきた

が半年前だが、
さらに加えて
ALINA

も出てきた。

肺がんTNM9版ではN2がN2a/bに分かれて
’N2a’(リンパ節転移一個)が出てきたのも
手術を意識した変更と感じる
上の記事にも書いたが、
PACIFICで「なんとなくN2なのでCRT」という流れは
大いに変わってくると想像する。

肺がんの世界にも「腫瘍学的BR」「解剖学的BR」
が誕生する日はそんな遠くない気もする。
(日本の呼吸器外科の先生は一部アグレッシブ勢もいるし)

術前ICI+ケモにRTを加える症例は?
パンコーストはそうなりそうに感じるが…

PACIFIC2がこけたのは個人的には大事件。

今後のCRTを軸とした開発は???

・オリゴメタ・オリゴプログレッション

改めて思うが、NSCLCのオリゴメタ・オリゴプログレッションに
SBRTするのはかなり有望な成績がそろってきている。

ICIやTKIのセカンドラインの乏しさ、
というかセカンドラインに入った瞬間、選択肢激減
(大概DTX+RAM?)
から考えるとオリゴプログレッションはかなり良い標的

放射線治療医としては
「いかに有害事象を出さず、局所を制御するか」
という観点は必要。

2022年の肺癌学会で発表したのだが
7.5Gy*8Frで結構ひどい副作用を
作ってしまってBED>100にはこだわらんで
副作用は出さないいい塩梅は難しい…

骨転移のSBRTにはDWIBSがすごく良いかも、
と最近よく思う。硬化性変化がメタかと
思ってたらそうでなかったりとかいろいろあるよう。
治療修飾が加わるとMRI T1/2でも
いろいろわからないところもあるのよね。

・早期肺がん
I-SABRはかなり期待のアプローチ。

一部の肺がんに対しては、縮小手術のエビデンスがでて、

もうすこし縮小手術ははやるのか?
と思いきや、やはり肺がんとしては手落ちの治療、
というのもまた事実なようで、
コンサバな先生はすぐ動かないよう。
この辺りはもう少し煮詰まってくる日も近いのでしょう。

SBRTはこのあたりの中庸さをもともと持っているし
放射線治療医は
「腫瘍への治療」と「患者への治療」
が逆転しないようにするのはむしろ得意なのでは、と思ったり

呼吸器内科、外科の先生としては
やっぱり手術>SBRTの雰囲気は捨てきれないようで
それはわかっちゃいるけど、SBRTを選ぶ人もいると思うので
SDMをできるよう、我々から働きかけねばならないのでしょう
(それを言い出すと肝臓のSBRT…)

その他今年の肺がん参考ネタ

良いお年を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?