放射線治療医がちょっと考えてみた、すい臓がん最近の徒然
・コンバージョンも絶対無理なUR・遠隔転移あり
UR膵癌は
画像ガイド下のSBRT(できればMRI)
や重粒子線をケモの合間に
上手いこと組み合わせてくださいと
放射線治療医としては思っている。
RTは症例を絞れば効果はあると信じている。
ケモはJCOGの
これで日本の標準はGEM+nabPTX??
※mFOLFIRINOXおよびS-IROXは、GNPに優るものではなかった
というのが結論で、あくまで優越性を示したわけではない
※BRCA変異はFOLFILINOX→頃合い見てPARP阻害薬維持?
先日紹介したS-1+nabPTX
はさらなる臨床開発に期待。
免疫療法は手術しない場合は
やっぱりかなりcoldなので
JCOGの試験には期待している。
ただ、なかなかMSI-Hでも他に比べると今一つ、
分子標的もHer2変異あってもエンハーツもイマイチなよう
KRAS阻害薬にも期待だが、
ソトラシブとかの結果を見ていると
やっぱり爆発的な効果はそう簡単じゃなさそう…
・放射線治療のやり方とかオリゴメタとか
膵癌の原発SBRTは結構やられている
個人的には
下手にFrを減らしすぎるとアダプティブをしても
消化管に忖度しなくてはならず、
結局線量が思うように入らないので
10~15Frぐらいが実は結構いい落としどころ
なのではないかと思っている。
それならケモかませたらいいんじゃないかな、
と個人的には思うのですよね。
自身の経験ではS-1は
ほぼフルドース入れてもそれほど
副作用が増えない印象があるので
(少なくともGEMよりは使い勝手いい)
5-FU+ギメラシルの増感にも勝手に期待している
膵癌のα/βはいろいろ探したり
いろんな先生にも聞いてみたが
データがない、というのが事実なよう。
とか
とか、当院でも数例
膵癌のオリゴにSBRTをやったのだが
結構制御できている印象がある。
(マーカーも下がるし、ケモにもあまり悪影響ない)
腫瘍内科の先生としては「膵癌のメタにMDT?」
となるかもしれないが、
案外ケモに悪影響しない範囲で
線量をそれなりに入れれば
肝転移とかリンパ節再発はイケるのかもしれない。
適正線量は分からないが…
一応α/β=10なら70Gy以上を目指そう、
というのも通常のSBRTができる場所であれば
結構簡単なわけで、MDTに対する治療は
もう少し積極性を持ってもいいかな、と思っている。
・BR~コンバージョン
とりあえずの今のところの論文
https://note.com/nijuoti/n/na23fd98fc1e9
GABARNANCE試験
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202406/584563.html
とかも見ると、BRやコンバージョンに
ケモラジを組み合わせることで
※SBRTは未知数だが、こけた試験あり
R0切除(個人的には海外の1㎜ルールを
日本でも採用していくべきと思っている)
は増えて、超長期のデータを見ると
RT群のうまみが出てくる、というのが実際のところだと思っている。
少なくとも自施設の経験では
術前ケモラジすれば
門脈合併切除は前提として
血管周りでon inkであればかなりR0にはなっている。
JCOGの試験
https://jcog.jp/document/s_1106.pdf
では導入化学療法は否定されてしまったが、
近年のケモでは肯定的な立場の人が多いのではなかろうか、
と思っている。
ケモをCRT前に何コースするべきかは難しい…
沢山やればやるほどいいのではあろうが、
もともとのケモのPFSも考えると
引っ張りすぎるのもどうかとも思う。
(そこも含めてふるい分け、
という考え方もまた正しいと思うが)
CA19-9で測る"biological BR"の考え方で
何コースするかを決めるのも
アリと思うが、じゃあカットオフどのくらいにするのか?
というのは数年前の某研究会でも話題になっていた。
正常化まではやりすぎで 200位?というのが
当時の会場の雰囲気だった。
ちなみに血液型とかでCA19-9が使えない人は
DUPAN2を使うといいらしい。
CRT好意的な外科医の先生とのディスカッションでは
縫合不全や膵液漏が増えている印象はなく、
むしろ慣れてくると手術に安心感が
術前CRT症例ではある、と肯定的な意見もいただいたことがある
・R膵癌
Rに関しては「明らかなR」をちゃんと選ぶのは大事と思っている
この本は古いが、非常に名著で示唆的な本で
これを読むと「CTでちょっとしたモヤモヤが
病理上かなりの腫瘍進展を示している」
というのが示唆されており「R」膵がんでも
術前ケモにRTを足してもいい群はあるのだと思っている。
画像的にRでも"biological BR"も別個に扱うべきと思っている。
結局のところRは症例を選んで、BR~コンバージョンも
Total Neoadjuvant Therapyだよね、
というのが最近の徒然
RTに対して否定的な先生もまだまだいる中で、
どのようにRTの必要性を示していくのかは
放射線治療医に課せられた
重要な課題と思っています。