お勉強317:CRTしないなら、SABR?



局所進行肺がん+オリゴメタの症例に対して
CCRTができない人だがRTはできる人
(施設によって変わってくるだろうから定義はあいまいだが…)
に対するSABR的な照射を行って、その局所制御率を見る、
という単施設PhaseⅡ試験

一応以前の通常照射だと成績は惨憺たるもので
5年生存は15%以下と書かれている。
特に局所制御は生存と深くかかわっているので
局所制御は大事と。ゆえにRTがkeyとなってくるので、
RTOG0617で74Gyがこけたのは通常分割の限界ではないかと、考え
(実際hypoだと、いいという報告もあるよう)
SABRに期待してみたというストーリーらしい。

PS2以下、診断がついているNSCLCで
手術後再発や、遠隔転移が局所制御適応の局所進行
も含む患者群が対象

一応できる人はインダクションのケモ
(CDDP+VNR:4Kur)や
PDL-1が1%以上であることが必要だがイミフィンジの
コンソリデーションが入っている

処方線量は中央値で原発45Gy
リンパ節40Gyを5FrでVMATでの照射。

IFRT、基本はPETでGTVを判断
術前治療が入っている場合は
縮小したものをGTVとしているよう。

OARとしては同側肺ーGTV・反対肺
全体肺ーGTV・食道・主気管支
同側気管支・心臓・大血管・脊髄

OARと重なるところは線量を落とす
SIP(simultaneous integrated protection)を行う
D95処方のようだが、MaxDoseは<107%のよう
OARの線量制約は本文を。
リンパ節と原発が離れていたら別々にあてる
(間はつながない)

対象患者は50人。Ad/Sqは半々ぐらい
年齢中央値は73歳
抗凝固・抗血小板が35%ぐらいの人で入っている。
16人が術後、半分がmultipleリンパ節転移
8割がウルトラセントラル
半分ぐらいインダクションケモが入って
15%ぐらいイミフィンジしている。

結果としては中央観察期間38ヶ月で
局所再発19例、再発までの中央期間は13ヶ月
一応局所制御率のmedianはnot reached
DFSのプラトーは25%ぐらい
遠隔転移のPFSのプラトーは50%
局所制御のプラトーは55%ぐらいか。

最終フォローアップの時点で33人
生きていて、MSTは55ヶ月
(現病死が13人、他病死は4人)
G3以上の有害事象は無し
(放射性肺臓炎も含めて)

オリゴ再発に対しては再度のSABRをしているよう。

再発形式として再発全体を100%とすると
初回再発形式は
局所のみが33% 領域(リンパ節領域)のみが22%
遠隔転移のみが45%

腺癌は局所制御良好因子
リンパ節転移個数が多いと転移しやすい
OSに関連してくるのはPTVの大きさやTNMStage

局所再発率としては
RTOG0617の60Gy群と大きくは違わないよう
過去に4例ほどSABRを用いた似た試験があるが、
それに比べて背景を考えると
十分良い成績と筆者らは主張している

ウルトラセントラルだが、過去の報告と違い
気管支出血などが見られなかったのは
SIB/SIPのテクニックによるものと主張。
(これには同意する)

結論としては成績良く、
コンプライアンス100%で有害事象も少なく
SABRを使った照射は
局所進行肺がんのRT単独治療として
良い治療法としている。

局所制御はAdとSqで恐ろしいほど差があり、Sqに
安全に、線量を増加を行う、
というのはイミフィンジ時代になっても
局所制御は課題と報告されているので
今後の方向性と考えている

とりあえず個人的には一律に
NSCLCのケモラジ=60Gy→イミフィンジ
ではなく、IV期肺がんと同じように

組織型や遺伝子型(最低EGFRの19delとL858R)で
戦略を放射線照射もケモ、コンソリデーションも
個別化していく時代が来るべきと思っています。

SqだけSIB・SIPして一回2.5-3Gy照射、
ってのはアリだと思うが、臨床試験誰かせんものか。

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