お勉強386:究極の直腸温存療法

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2023.1182299/full


いわゆるNEJMで旋風を巻き起こした
直腸がんネオアジュバントICIの報告があったが、

同様にdMMRもしくはMSI-Hの直腸がんに
ネオアジュバント免疫療法を行って
cCR~nearCRの人にW&Wした群と
手術群を比較するレトロスペクティブコホートの報告
(筆者らは世界初のデータと主張)

エンドポイントは
OS
2年DFS、遠隔転移、局所再発 
irAE 
手術合併症
ストマ増設

20人が患者としており、ICIはPD-1阻害薬とのこと。
(なんでもいいらしい)
レスポンス評価は
・MRI
・経直腸超音波
・造影CT
・直腸診
・CEA
・内視鏡
・生検
しているらしい
(サプリメントの表に判断基準があるので一読を)

フォローは
・CEA/直腸診 2-3か月おき(2年)
・MRI/TRUS/内視鏡3か月おき(1年)以降
         6か月おき(5年目まで)

・造影CT6か月おき

18人がCR(免疫療法としては7サイクル)
11人が手術でpCR、7人がW&W
観察期間中央値25か月で
これらのどちらの群も再発なし。

cCRでなかった残り2例は手術したが、残存あったらしい
(ypT1N0M0 でも再発なし)

ただ、手術群では2例が永久人工肛門
3例が一時的人工肛門、2例で手術合併症

レスポンス評価はまだ一致しないが、
FDG-PETやctDNAも有効であろうと。
夏季セミナーで先行施設に聞いたら
内視鏡でかなり慎重に判断しているらしい
(やはりサルベージの手術は難しいんだそうです)

筆者らは簡単に以前のデータとも比較し、
早急に判断するのではなく、半年ぐらいした時点で
(CRTよりも長めにおいて)判断するのを推奨しています。

そしてやはり普通の結腸癌より直腸がんのMSI-Hの方が
効くであろうとも指摘しています。
(筆者らは腸内細菌の差?とも予想しています)

これまでの研究のデータでも、cCR~nearCRで
W&Wがうまくいった患者さんではアジュバントもいらない可能性が
短期的な観察では高いようです。

MSI-HやdMMRの患者さんは本当に理想的な
「直腸温存療法」の候補なのかもしれません。

結論としては、cCR~nearCRならW&Wは
安全で望ましい治療法であろう、とのこと

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