お勉強395:リンパ節陽性膀胱がんは膀胱温存療法に適しているか?
https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.23.00725
膀胱温存三者併用療法(TMT)と根治的膀胱摘出術(RC)
の比較はあれこれ行われているが、
今回はcN+の膀胱がんでのリアルワールド
レトロスペクティブコホート研究
※EAUのガイドラインではCT/MRIで短径が
骨盤リンパ節は8㎜以上、
腹部リンパ節は10㎜以上で陽性と取るべし、らしい
2012~2021年治療の膀胱がんの
OS/PFSをUKのがんセンターでデータで比較
(TMTもRCもやっている病院であることが前提)
cN+の患者は287名おり、
TMTやRCは緩和治療よりはOSを改善(HR:0.32)
根治的治療を受けた患者は
(と言ってもネオアジュバント・アジュバントうけていなかったり、
CRTではなくRT単独の患者さんもいる)
ケモはほとんどGEM+プラチナ
RC76名 RTを受けた患者は87名
背景因子としてはRTを受けた患者のほうが年齢は高い
RCのうちケモが入っている:入っていないは2:1ぐらい
RTが入っているがケモが入っていない人が19人もいる
(ただ、低酸素増感剤の人もいるよう)
RTのFrはおおむねイギリスの標準の
50-55Gy/20Frや64Gy/32Fr
膀胱だけが約7割、リンパ節もあてているのが約3割
観察期間中央値4.53年で
全体のMSTは1.55年 2年・5年生存率は39%・19%
PFS中央値は0.95年 2年・5年OPFSは28%・17%と
根治治療を受けた群だと
MST2.4年 2年生存率は56%
と、なかなかこの群の生存は厳しい
RCとTMTの群で
OS(HR:0.94 95%CI:0.63~1.41 P=0.76)
PFS(HR:0.74 95%CI:0.5~1.08 P=0.12)
と有意差なし(ほぼぴったり)
ちなみに数値上はTMT>RCである
予後因子としてはケモを受けていると生存がよい
cNがN1vs.N2/3でN1のほうが生存はいい
意外なのはPS/年齢/cT因子は予後に影響しない
ケモを受けた群だけでRCとTMTを比較しても
OS/PFSは有意差なし
照射野・薬剤の併用に関しては
有意差はないが膀胱のみの照射がリンパ節領域を
含んだ照射よりも生存成績が良い
(ただ、背景因子については調整していないし、
膀胱は一般的にマージンを大きくとって照射するので、
incidentalな照射はあるだろうと筆者らも考察している)
薬剤の併用に関しても有意差はないが、
併用群のほうがOSは数値上は良い
PFSは逆(併用じゃないほうがいい)
これも背景因子の影響は否定できない
MSTの短さを考えるとRCの代替療法としてTMTは
cN+の膀胱がん患者の治療として有用と考えられる、という結論
(ちなみにUKでは膀胱温存は割とメジャーな選択肢のようである)