ASTRO24 特集③(最終回) 膀胱温存まとめスペシャル


ASTRO24で膀胱温存のまとめがあったらしい
筋層浸潤膀胱がんの標準治療は膀胱全摘で、
今もそれは変わらないが、臓器温存の流れで
(細々と)膀胱温存療法としてtrimodalityが進んできた

できる限り膀胱鏡で腫瘍を取る(mTURBT)
ケモラジ
の三者併用療法

端緒はRTOG85-12でCDDP+RT。
その後、
BC2001で5FU/MMC+RT
BCONで低酸素増感剤+RT
RTOG07でGEM+RT
RTOG 09-26でCDDPor5FU/MMC+RT(非筋層浸潤)
SWOG/NRGでCRT±アテゾリズマブ
といろいろなレジメンが試されてきた
(個人的にはMMCや低酸素増感剤のエビデンスがあるので
 膀胱がんは低酸素が何かしら悪さをしていると思っています)

無論最初は手術できない症例からやっていったわけだが
成績がそれなりによく、徐々に手術可能群でも
やられるようになってきたわけである。

文中に表があるが、おおむねcCR率は66‐88%
OSも3年で6割程度、5年で5割程度と

まとめた先生によるとBC2001の10年フォローアップで
5-FU/MMCをRTに上乗せすることで
・局所制御、筋層浸潤再発、サルベージに行く頻度
は改善しているが、
(局所制御は2年ぐらいでプラトー)
・OSや遠隔転移なし生存
は上には来ているが、統計学的有意差はなかったと。
ただ、ケモを上乗せしてQOLの悪化はなかったよう

当然ながらこの類の「温存か、手術か」
をランダム化比較試験するのは難関が予想されるので
2005‐2017に治療した「膀胱全摘」と「膀胱温存」
をIPTWでマッチさせた研究があるよう
(7㎝以上とか、水腎症があるとか、CISがあるなど
 膀胱温存療法が適さない患者は除外されているよう)

観察期間中央値やく四年半で
5年の遠隔転移なし生存や、DFSはほとんど差はないのだが
OSは膀胱温存療法の方が優位に良かった。
ちなみに膀胱温存療法でサルベージの膀胱全摘を
受けた患者は13%であったと。
がん特異的生存はサルベージした症例と
サルベージしなかった症例で同等と
(つまり、サルベージを適切にすれば
 癌特異的生存は変わらない)

続いて

この論文を引用
結果は記事参考だが、同じような傾向
(ただし、2年ぐらいしか見ていない)

NCCNガイドラインでもStageII-IIIの
1st lineの治療として膀胱温存療法が
挙げられており、膀胱全摘が「唯一の」標準療法
という感じからは変わってきている

非筋層浸潤がん(高リスク)や遠隔転移ありの症例にも
膀胱に対して温存療法をするのが出てきていると

従来膀胱全摘を行ってきた
非筋層浸潤癌の高リスクに対して
RTOG 0926でCDDPor5FU/MMC+RT(61.2/34Fr)
という治療を行って
三年膀胱全摘回避率88%
五年生存53%という値であった。
膀胱全摘を回避したい患者に代替案として
出せるかもしれないと。

遠隔転移がある場合
転移が5個以下になった患者に原発に45Gy以上の放射線治療を
原発と残存病変にRTをするconsolidation治療と
しない対象群とを調べると
6か月の時点の生存は良く、HRは0.48、有意差あり
放射線治療を使ったconsolidation治療は
今後一つの方向性かもしれないと。

今後の課題として
・膀胱温存療法に免疫療法を組み合わせる
・いわゆるネオアジュバント治療と膀胱温存を組み合わせる
・どのくらいmaximal TURBT必要か?

ということを上げていたという

・膀胱温存療法に免疫療法を組み合わせる

SWOG/NRG 1806(INTACT試験)が取り上げられていた。
III相試験でCRTにアテゾリズマブを加えるデザイン
膀胱温存のEFSがプライマリーエンドポイントと。
患者集積はコロナ下だったにもかかわらず
かなり良かったようで、患者の膀胱温存への
ニーズを反映したものだろうと

・いわゆるネオアジュバント治療と膀胱温存を組み合わせ

これはいわゆるネオアジュバント→手術で
OSが改善したことによるもの
NAIAGARAでデュルバルマブのサンドイッチも
有効と示されて、標準治療はそちらに
移行しそうである。
しかしながら膀胱温存ではRTOG89-03
という古い試験で導入療法は
否定的な結果となっている。
古いケモで古い照射法なので
カナダでIPTWでRTをした人でNACが
予後を改善した、というデータを出したが
CRTに限って感度分析するとNACの効果は乏しかったよう。

※個人的にはNACで選別をかける、というのはアリと思う。

・どのくらいmaximal TURBT必要か?
カナダからはincompleteでもcompleteでも
変わらない、という報告もあると。

まとめをした先生は
・膀胱がんの治療はめっちゃこの2年で進化
1:SWOG/NRG 1806の患者集積修了
2:アジュバントペンブロがポジティブ
3:周術期デュルバポジティブ
4:EV301ボジティブ

予定されている試験として
NRGで「ランダム化比較試験」が
筋層浸潤でも、非筋層浸潤でも計画されている
SWOGでネオアジュバント治療の評価する試験が計画されている

まとめをした先生の`take home message`
として
・膀胱全摘が`gold standard`という時代ではすでにない
・患者選択をちゃんとすれば膀胱温存は全摘に匹敵
・今こそ、組み入れ基準を拡大して
 適した患者を増やす研究努力をすべき時期
・臨床試験、ガイドラインなどで泌尿器科医の意識はかわりつつある

とのべたそう

ASTRO24の演題。
膀胱温存療法に
・術後床にSBRT Boost(18Gy/3Fr)
・RT後CR群にペンブロ維持1年
を加えてみました、という報告
※78%が男性
※85%がT2
※61%がincomplete TURBT
※96%がケモ併用
※20%がネオアジュバントケモ

46人で観察期間中央値10ヵ月
1年PFS、局所制御、OSは
85%/93%/97%
2名が遠隔転移を発症
1人がコロナで死亡
40例が膀胱再発なし、2例膀胱再発
一例はTUR-BT、一例膀胱全摘
一例膀胱出血で全摘

という報告があったと。(結構いい感じ)

今後の方向性のまとめスライドは

過去にも膀胱温存ネタはあるので

https://note.com/search?q=from%3A%40nijuoti 膀胱温存&context=note&mode=search

も参考に。

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