お勉強385:乳がんの照射省略はどこから?

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2302344

カナダからLumina trial
端的にいうと、
T1N0 Grade1,2のluminalAであれば
乳房温存、放射線なしでも再発率は低かったという論文。


55歳以上の女性を対象とした他施設単アーム前向きコホート研究。

・55歳以上
・IDC:T1N0
(腫瘍径2cm未満、センチネル、もしくはAxでリンパ節転移陰性)
・Grade1/2
・luminalA乳癌
※ER 1%以上、PgR 20%以上、Her2陰性、
Ki67指数13.25%以下と定義
 Ki67は中央判定
・術後補助内分泌療法(AIもしくはタモキシフェン)を5年以上受ける

を満たす患者を対象とする。
除外基準としては
・lobular carcinoma
・皮膚・胸壁浸潤
・multifocal/multicentric
・Grade3
・乳管内進展、リンパ・静脈侵襲

プライマリーエンドポイントは同側乳房の局所再発(DCIS含む)とした。
5年後の累積発生率の両側90%信頼区間の上限が5%未満
ならば局所再発のリスクとして許容できると判断。
(一応放射線治療医の意見を聞いた、と書いてある)

フォローは1年ごとのMMG

2013~2017が試験期間
登録患者740人のうち、適格患者500人が登録
患者年齢中央値は67歳
75歳以上は11.6%
腫瘍サイズ中央値は1.1cm
ホルモン療法としてはAIが59%タモキシフェン41%
8人ホルモン療法受けず
コンプライアンスとしては(自己申告だが)5年時点で82.7%

登録から5年後の時点で、
累積発生率2.3%の局所再発(すべてIDC)
(90%信頼区間[CI]、1.3~3.8;
 95%信頼区間[CI]、1.2~4.1)
事前に規定された境界を満たした。
数としては10人で、うち6例がマージナル再発

乳がん患者の1.9%(90%信頼区間[CI]、1.1~3.2)に
対側乳房に乳がんが発生。
あらゆるタイプの再発が2.7%(90%CI、1.6~4.1)発生。

5年間で乳がん死は1例のみ

これらの患者では(内分泌療法を前提として)
照射省略可能なのでは?
という結論

以下個人的感想も含め細々
https://note.com/nijuoti/n/n38e3a9eaa62e
この試験も参考に

・筆者らも指摘しているが5年というフォローは短い
しかし、上記の試験も出して、これから増えるかもしれないが、
「十分許容できる」局所再発率との結論

・カナダの医療事情と日本の医療事情
 (放射線治療へのアクセス・医療費など)
が違うので、RT省略のメリットは強調されすぎな感じ

・当然ながら年齢は日本ではかなり受け入れがたい年齢。
 日本なら75から80歳、というあたりか

・単群の試験なので、RT加えたらどうなるのか、というのはある。
 上記の試験のようにHRが10とかになると「省略可能」と言えるかは?

・現在のフロントラインの5Frが標準になったら状況は変わりうる。

長期フォローアップが気になるところです。

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