お勉強367の続き、カペシタビンのHFSにはジクロフェナクを塗ろう!
https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.23.01730
https://note.com/nijuoti/n/n282d9b32f78e
の論文化
手足症候群(HFS)はカペシタビンの用量制限的副作用である。
※イントロによると3/4の患者で発生するとのこと
ソラフェニブのHFSでは尿素クリームが効果的と
分かっているが、カペシタビンでの効果は不明瞭らしい
セレコキシブは、関連する炎症のために発現が増加する
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を阻害することにより、
HFSを予防する報告がある。
しかし、セレコキシブの全身的副作用のため、
日常的な処方は制限されている。
そ・こ・で、外用薬!
関節痛などでおなじみのジクロフェナク外用薬を使う
ジクロフェナク外用薬は、局所的にCOX-2を阻害し、
全身性の有害事象のリスクは少ない。
カペシタビン誘発性HFSの予防における
ジクロフェナク外用薬の有効性を評価する研究。
単一施設第III相無作為化二重盲検試験。
カペシタビンをベースとした治療を受ける
予定の乳がんまたは消化器がん患者を登録。
大体1:1 ケモ併用が6割ぐらい
・ジクロフェナク外用ゲル
・プラセボ外用ゲル
の二群にランダム化割付け
12週間またはHFSが発症するまで投与する群に
1:1の割合で無作為に割り付けられた。
一応ジクロフェナクの投与は12週以上は
安全性が保障されていない、ということと
12週までにHFSが出る人は出やすい、ということで
12週で介入は終了らしい
(日本ではガンガン塗っていると思うが…)
プライマリーエンドポイントは12週までの
グレード2または3のHFSの発生率、
PRO(HFS専用の質問票があるよう)
単純ロジスティック回帰を用いて2群間を比較した。
2021年二月から2023年1月までに
合計264人の患者を
ジクロフェナク外用ゲル群(n=131)
プラセボを投与する群(n=133)
に無作為に割り付け
割付因子としては性別とケモの併用
(女性の方がでやすい、ケモと併用のほうがでやすい、
という報告があるとのこと)
外用薬は1gを一日二回手に塗っていたと
(足に塗っていないのはlimitationでも述べられていえる)
グレード2または3のHFSは、
プラセボ群の15.0%
ジクロフェナク群では3.8%に認められた
(絶対差、11.2%;95%CI、4.3~18.1;P = 0.003)
グレード1-3のHFSは、
プラセボ群よりジクロフェナク群の方が低かった
(6.1%対18.1%;絶対リスク差、11.9%;95%CI、4.1~19.6)
HFSによるカペシタビン減量の頻度は、
プラセボ群よりジクロフェナク群(3.8%)の方が低かった。
(13.5%対3.8%;絶対リスク差9.7%;95%CI、3.0~16.4)より
HFS G2-3が出てくるまでの期間の中央値は
プラセボ群6週
ジクロフェナク群9週
HFSのQOLもジクロフェナク群有利
ケモを併用していると絶対リスク差は少し落ちる。
ジクロフェナク群の副作用としては、下痢・粘膜炎が多かったよう
(G3で10%程度)
プラセボ群で以前の試験よりHFSの発症頻度が
低かったのは、プラセボ群でのゲルは
塗っていたのでその保湿効果からかもしれないと
筆者らはのべている
というわけで、
ジクロフェナク局所投与は
カペシタビン投与患者におけるHFSを予防し、
dose intensity を高め、QOLも良好に維持した。
TKIのHFSには応用効かないだろう(機序が違うので)と
筆者らは行っているが、実際はどうだろうか。
12週以上のデータはないが、日本でOTCで売られており
たぶん12週以上塗っている人は
日本でもたくさんいると思われるので
安全性を考えるとカペシタビン処方に
ジクロフェナクはセットでもいいのかもしれない。
安くて、簡単。素晴らしい試験。インドスゴイ。
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