お勉強254:HPV+中咽頭がん大胆なdeescalation

https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/

HPV+の中咽頭がんで予防照射線量低減(30Gy)、
予防領域も減らす(非患側の高位のRP、両側のIB/V)という
結構なde-escalationの報告。レトロの報告です。
(ちなみに2-step法のようです)

HPV+はp16陽生活、HPV-RNAの証明

扁摘などの審査的な原発巣切除や
審査的なリンパ節切除後の大きなリンパ節残存患者は許容。

ターゲットとしてはPET/CT/MRIで陽性が疑われる
部分をGTV,基本原発は5㎜、
リンパ節は3-5㎜のマージンでPTVとしているようです。
(CTVは無しとしているよう!)

予防領域のCTVとしてはRP/retrostyloid
levels II-IV (手術している場合は入れないよう)
PTVマージンは2-3㎜

予防領域は少なくとも原発巣よりは1.3㎝は離れているようにしたとの事。
明らかな片側扁桃、3㎝以下のリンパ節転移が1~2個の場合は
片側照射も考慮。

一応GTVに近い怪しい領域は50Gyにすることも臨床医判断で許容した。
(結局そういう人は31.5%だったとの事。
 経時的に50Gyを使う事は減っていったらしい)
※下の方の結果を見てもらうとわかるが、全然成績いいので
 50Gyいらんやろ、という空気が出来上がったのでしょう。

毎日CBCT(キロボルト)で位置合わせ
患者群はやや低リスクの10pack-yearsの患者
(半分は非喫煙者)
31.5%がcT3-4 23.5%がcN2-3
8thAJCCでStageI/II/IIIが58%/27.9%/14.1%
ほとんど舌根か扁桃癌
ケモは指定は無いが8割程度はCDDP

患者群がmedian61歳というのもあるのか、
300mg/m2のCDDPが入ったのが62.3%とのこと。

2年での局所制御率は97% OSは95.1% PFSは88%
予防照射量を低減した30Gy領域から再発したのは1例のみと。
(もともと、レトロに見るとリンパ節はあったが
 GTVにしていなかったらしい)
残り7例の局所領域再発は70Gy部分とのこと。

QOLに関しては
顎関節関連・痛み・食事・社会生活・会話・嚥下
は横ばい、もしくは改善(顔面痛が特によくなったと)

悪くなったのは口喝、筋緊張、認知機能、味覚
(徐々に回復はするが、元には戻らない)

6.2%がfeeding tube 留置中央値は5ヶ月
(海外的にはすごくいい数字のよう)
他のde-escalationに比べると圧倒的に
de-escalationできているし、有害事象も低い
(他の試験などではfeeding-tube 21.7~34%)

筆者らは一般論として、40Gy程度あてれば
領域only再発はかなり少ないというのが、
実際のデータであるとディスカッションしている。

原発もさらにPETガイドで線量を減らすという試験もしていると。
予防線量を減らせているのはPET・MRIなどの
画像診断の発達も影響しているだろう、と考察。

ツイッターで実際のコンツール見るとかなり狭い印象
https://twitter.com/CJTsaiMDPhD/status/1484252411191570432

こういうデータを見ると、予防照射線量って
そんなにいらないのでは?と思わされ、
中咽頭に限った話ではないが、JCOG1912も期待してしまう。
http://www.jcog.jp/document/1912.pdf

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