お勉強257:SBRT予後予測モノグラム@米国
https://www.clinical-lung-cancer.com/article/S1525-7304(21)00159-5/fulltext
早期ステージの非小細胞肺癌患者における
定位放射線治療(SABR)
vs.
経過観察
全生存期間(OS)を予測するノモグラムを開発して、
検証してみるという研究。。
アメリカのデータベースでT1-T2N0の非小細胞肺癌に対して
(生検で肺がんと確定している)
BED10>100でSABRした群と
経過観察を比較。
予後因子および病理学的因子について
SABRと経過観察コホートをマッチング
結果として片群4418人のマッチングとなった
2年および5年OSを予測する 多変量Cox比例ハザードモデルを作成。
その際の因子は後ろ向きに取捨選択しノモグラムを作成。
モデルの予測精度は、ROC曲線とROC-AUCにより評価した。
多変量解析でOSの改善と強く関連した因子は、
・若年であること(10歳区切りのHR 0.82、P<0.001)
・女性(HR 0.81、P<0.001)
・合併症が少ないこと(0対3、P<0.001)
・腫瘍径(3cm以下対5.1-7cm、P<0.60)
・腺癌であること(P<0.001)
・SABRを受けたこと(P<0.001)
であった。
SABRと組織型の間の相互作用は、 OSと有意に関連していた
※腺癌と比較した場合、
扁平上皮癌は
経過観察(HR 1.44[1.33-1.56])においても、
SABRを受けた場合も(HR 1.24[1.14-1.35])
有意にOSが悪かった。
ノモグラムをこれらから作成し AUCが0.694であり、
OSの予測にかなりの精度があることが示された。
(と主張しているが、若干きつい結論な気もする)
このサイト
https://junheng-gao-duke.shinyapps.io/DynNomapp/
で予後予測できるらしい(色々値を入れてみると面白いです)
(ノモグラムでのyes/noの差が明らかな差であることや、
年齢に直すと扁平上皮癌だと30歳ぐらいの差になるのは興味深い)
少なくとも、肺切除を希望しない、 医療的にできない患者に対して
肺がんっであろうが、転移であろうがSABRは確立した医療、というのは
確実なものになりつつあり、標準治療として
提示する必要性を(家庭医や呼吸器に限らず他科の先生にも)
わかってもらうのが必要と感じます。
日本では高齢者はもう少し生きるので、
このノモグラムから 計算される値よりは上でしょうし、
最近は扁平上皮癌に必要なBEDは腺癌よりもかなり高め、
(という報告が相次いで出てきている)ということで
より 高線量を入れている(大腸がん肝転移のように) ところも
あるでしょうし、 このノモグラムよりやや上ぐらいに
見繕っていいのでは?と個人的には思います。
Sqの方が予後は悪いが、 SABRの上乗せはAd<Sqでもあるということで、
筆者たちはSqが中枢に発生したりするのでその影響もあるか?
みたいなことも言っています。
筆者たちはレトロの限界と もっと因子
(IP的陰影の有無・HOTの有無・肺機能・PETの集積等) を増やせば、
より正確なOS予測ができるだろう、 と言っているが、
この辺りのパッと手に入る因子で
ざっとしたOSを予想する、というのは悪くないと思う。
日本でも作ってみると外来で役に立ちそう。