お勉強482:膵癌にはオリゴメタがある?
https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.24.00081
バスケット試験EXTEND試験
(他施設II相でオリゴメタへの局所治療
MDT:metastasis directed therapy
の有効性を見る試験)
膵癌パートの報告
※膵がんに対するオリゴメタの報告は初めてと。
の論文化
前立腺もEXTENDで報告有
病状進行は
・RECISTでの画像上進行
(盲検された状態での中央判定があったよう)
・臨床イベント(全身治療を変更するような)
・死亡
と定義
転移5個以下でMDT可能
(基本SBRT推奨 プランQAもされていると
50Gy/4Fr 70Gy/10Frが主に使われた
RFAが2か所に対して行われた)
PS 0-2
治療ラインは4 line以下
が原則
層別化因子は
転移巣の数(1-2個 vs 3-5個)
全身療法の前治療ライン数(0-1ライン vs 2+ライン)
CA-19-9(<90 U/ml vs ≧90 U/ml)
プレイマリーエンドポイントはPFS
セカンダリーエンドポイントは
OS/次の全身治療までの時間、局所制御、
新規転移発生までの期間、毒性、QOL
OSはITT解析でそれ以外はper-protocolのみ
対象群でも進行したらMDTは許容されていた。
(結局3/21で行われており、うち一例はその後治療なしのよう)
試験に参加した41人の患者のうち、
40人per-protocol解析された
(MDT群19人、対照群21人)。(除かれたのはMDT群1人)
転移か所1~2か所が78%
17例局所治療後(13例が手術後)
MDT群では原発activeな11人全員原発に40Gy/5Fr SBRTされた
転移は肝転移・肺転移が多い
MDT群は19人中10人がchemotherapy breakがあったと
(中央値4か月)
8人は単剤治療にde-escalation
(中央値5ヵ月)
対象群は21人中2人がchemotherapy breakあり
(中央値4か月)
5人が単剤治療にde-escalation
(中央値2か月)
重複ありのようで
MDT群15人、対象群7人で
何らかのケモの強度減少があったと記載あり
データカットオフの時点でMDT群では
2人chemotherapy break中だったと。
(対象群は0)
中央追跡期間は17ヶ月で、
MDTを追加した群のPFSの中央値は10.3ヶ月、対照群では2.5ヶ月
(HR 0.43:95%CI 0.20-0.94)
一年PFSはMDT群42% 対象群9%
PFSはMDTを追加することで有意に改善。
post-hoc解析では
CA19-9は予後に関連していたと
MDTはCA19-9の高低に関係なく有効。
新規病変は
MDT群8/19で 対象群9/21
新規病変の出現までの期間中央値は
MDT群14ヵ月、対象群5か月
一年新規病変なし率は
MDT群54% 対象群38%
局所進行は
MDT群21%(4/19) 対象群23%(5/21)
(ただし、MDT群のうち2例はSBRT後の浮腫であったよう)
次のlineの治療までの期間中央値は
MDT群19ヵ月 対象群8ヵ月
両群13人の死亡があり
MSTはMDT群12ヵ月、対象群10ヵ月
優位差はなし(カプランマイヤーはほぼぴったり)
※ただし、ケモを休んでいるので差っ引いてみる必要はあり
3例他病死(大動脈解離・コロナ・肺塞栓)
MDT群でG3以上のMDT関連の有害事象は観察されず。
QOL解析はサンプルサイズが少なく
優位差もなかったと。
免疫関係の解析もしていて治療後の
・全身性T細胞刺激性サイトカイン(IL15)の上昇
・CD8+ T細胞活性化
・CD8+ T細胞増殖
・T細胞受容体クローン拡大の増加
がMDT群で優位に見られたとのこと
筆者らはICIとの組み合わせやabscopal的な
ものの可能性をディスカッションで
述べている
もっと大きな規模の試験をやる価値はあるだろうとの結論
これも含めてですが、原発はRT低感受性ですが
必ずしも血行性転移とかはRT低感受性じゃ
無いのかも、と思ってきているところもあります。
(単純に高BED入れているから?
転移はあまり低酸素じゃない?)
この論文でも述べられていますが
膵癌の中にも「オリゴメタスタシス」
の群があるのかもしれません