お勉強233:食道がんCRTどう変わる?私的展望

食道がん私的考察

JCOG1109 で標準治療はDCFとなった。
DCFに慣れていない病院でいろいろ起こりそうだが、
それはいろいろえらい方に頑張ってもらうとして。
それもひっくるめて、DCFが勝利したので、
(日本の手術方法がやや世界と違うので評価は?だが)
すくなくとも今までの世界標準であった
術前にCRTをする、という方法に対して
世界中でいろいろ議論は起こってくるだろう。

しかし、CF-RT群とCF群が差がつかなかった、というのは
結構放射線治療医としてはショックなところである。

https://twitter.com/CancerNetwrk/status/1484286366984785920
これを見たらわかるのだが、CR-RT群は
ものすごく他病死が多い。
というかこれがかなり足を引っ張っている。

https://twitter.com/ryanhuey/status/1484279470718693381
差がつき始めそうになってからまたくっついているので、
やはり他病死の影響というか、晩期有害事象が
関係している可能性は高い。
これで、Ut症例がかなりCF-RT群の方に
引っ張られているのを見ると、やはり心臓に
照射されるのが悪いと見える。

何回も書いているが、乳がんや肺がんで
問題になっているのに、もっとがっつり当たる
食道がんで問題にならないはずがなく、
このあたりできれいに結果が出た、という感じ。
JCOGさんに副次解析してほしいぐらい

41.4Gyでこれだけ影響が出るのだから、
Ltなどで60Gy程度あてたらもっとあかんと思うのだが…

個人的にはJCOG0502が成功したのも
照射野が小さかったのが原因と思っている。

ただ、放射線治療医としては陽子線治療や
心臓に対して丸あたりでない照射方法など
色々開発していく必要があるだろう

↓もご参照ください
https://note.com/nijuoti/n/n046f99030a49
https://note.com/nijuoti/n/n4ae52eb08a87

これからの早期ではないRTの立ち位置は?
1:ENIをやめてしまう。
 JCOG0508との整合性などからは、
 大胆だが、進行期や、
 T4症例に対するコンバージョンなどではアリな
 作戦と思う。術前にケモだけでそれなりに制御
 できるのであれば、DCF-RTでENIのみ、というのは
 DCFの容量にもよるが、案外許容な作戦のような気がする
2:高精度放射線治療
 陽子線はかなり期待できると個人的には感じている。
3:食道温存治療の期待に応える
 これは、今後も必要なこと。望んでいる患者さんはたくさんいる
 ただ、JCOG0909よりさらに高みを目指して色々作戦を
 練っていく必要はあり。
4:放射線の心臓に対する有害事象についてよく研究し、
 それに対応する薬剤などを開発していく
 ACE阻害薬が有効、という説もあるが、さてはて…

とりあえず、我々は長期生存する食道がん患者が
増え行く時代になってきたので考え方をリフレッシュしないとあかん。

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