今日のお勉強318:SBRTの予後因子

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35840110/

SABR-5 Trial

試験自体はII相試験で、
・18歳以上
・PS0~2
・組織学的診断がついている悪性腫瘍
・5個までの転移に限り、SABRができると判断される
・原発は制御されている
 (ただしsynchronousは原発をしっかり治療することでOkとしている)

線量に関しては特に規定はなし、施設任せ
セットアップやコンツールなどは以前に論文あり
(Olson R, Liu M, Bergman A, et. al.: Population-based phase II trial of
  stereotactic ablative radiotherapy (SABR) for up to 5 oligometastases: SABR-5.  BMC Cancer 2018; 18: pp. 954. がでているとのこと)

今回はすべての場所をSABRして、
早期(6カ月以内)にもうSABRできない転移が出るまでの期間が
(要するに、全身治療を変えたり、
 全身治療を始めなければならなくなった状態になる、という意味)
プライマリーエンドポイント。
SABRや局所治療できないかは放射線腫瘍医の判断。
全身療法については腫瘍内科医の判断。

6ヶ月、というのは予後に効いてくるのはこのぐらいだろう、
という予測によるものらしい。

患者は全体で381人
前立腺 (32%)大腸 (17%)乳腺(11%)肺(9%)腎がん(9%)
というような原発割合。

治療部位としては
肺(35%)脊椎以外の骨(25%)が多い
脊椎・リンパ節がともに15%程度
8割が診断後6カ月以上後に見つかったmetachronousな
オリゴメタスタシス
治療中に進行したり、見つかったものが16%

PSは0-1が多く男性が7割と多め。
(前立腺が多いことが影響していると思われる)

転移か所はSABR-5と名乗っているが
9割が1-2個

観察期間中央値27ヶ月で
3年のPFSは31%、medianは15ヶ月 
MSTは達せず、3年OSは72%

早期の再発の因子は
・前立腺や乳がんはそのほかの組織型よりいい
・PSが良いと成績が良い
・オリゴプログレッションだと成績悪い

早期再発は5割程度の方に見つかり
早期再発フリー中央値は30ヶ月
3年早期再発フリー生存は47%

リスク因子点数として上記の
・PS
・組織型
・全身治療中の進行
で0-4点に分けると

一番予後良好群だとだと3年生存93%
一番予後不良だと3年生存0%
などとかなり層別化できている

考察としてオリゴメタについて
上記のリスク因子を加味して
全身療法とのバランスを考えるべし、ということと

腫瘍径が早期再発の因子とされている
報告が多いとも言っている。

対照群がバラバラ(前立腺が多い)とか
SABR前や後の全身治療の状態とかがわからないとか
そもそも乳がんや前立腺がんが
良好因子、というのはもともとの
治療が良く効くからではなどの限界を指摘している。

雑多な解析で解釈は難しいが、
PSや腫瘍径でSABRの適応や線量を
考えることは今後必要なのでは、という個人的な感想

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