お勉強273:セミノーマ、後遺症も考えて
https://dailynews.ascopubs.org/do/10.1200/ADN.22.200808/full/
ステージIIのseminomaのお話。
我々放射線治療医としては、 日本ではあまり回ってこないが、
お勉強は必要ということで。
ちなみに古い日本のガイドラインは↓で
日本ではやっぱりほとんどケモ、もしくは手術という書き方。 https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0144/G0000742/0022 https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0144/G0000742/0021
一応(世界的)標準治療としては
・BEP/EPを3/4コース
・ドッグレッグの照射20Gy/10Fr+ブースト10~16Gy/5~8fr
短期の生存率は限りなく100%に近い ということのようだが、
晩期副作用
(二次がん、(短期的なものも含め)不妊 肺・腎・心血管毒性など)
があり、改善が課題との事。
そこで、低腫瘍量の場合のより低侵襲な治療として
①:いわゆるRPLND
※non-seminomaではよくやられる手術? のようだが、
結構合併症もあるので エキスパート施設でやろう、
との事のよう。
オープンがまだ標準だが、 ロボットも最近出てきているとの事
②:一期に近いやり方として
カルボプラチン(AUC7とちょっと多め)1コース に
線量は変わらないが照射野を縮めたRT
(文章には-75%%ぐらいになると書いてあった)
一応PFSは93.7%ではあるが、 スタディーとしてはエンドポイントを
満たさなかった(CIを切ったらしい)ネガティブトライアル、
ということのよう
という試験例を挙げている。
表に①/②の比較が書いてあるので興味のある方は一読を
一応figureには
リンパ節が3cm以下なら
・ケモ(BEP/EPを3/4コース)
・古典的なドッグレックRT30~36Gy
・②
・リンパ節の個数が少ないなら①
リンパ節が3-5㎝なら
・ケモ
・②
リンパ節が5cm以上なら
・ケモ
というアルゴリズムを提唱している。
①の問題点としてやや再発率が高いこと、
片側の郭清や、ロボット手術がまだまだ不明確な点がある
(ただし、ロボット手術の研究は厳しい患者群であった ことも
あるので、何とも言いかねると)
あとは、上にも書いたが、ちゃんと経験の豊富な 外科医が
手術をすることが必要、と挙げられている。
②の問題として (試験としてのエンドポイントを満たさなかったが)
安全性や、良好な予後は評価できる
※①より再発率は低く、対照群が悪い群も入っていた
治療法もそれほど術者依存性がないのも評価できると。
しかし、長期の副作用は不明であるし
ステージIのカルボプラチン単独で見られた現象があるかもと
(治療後割と3年以上たってから再発するというような
「単純に後ろに再発がシフトしているだけでは疑惑」
というのがあるらしい)
ちなみに①のような手術的アプローチは かなり早期に再発がでてくるよう。
放射線治療医としては つねに「二次がん」の話をされるネタですが、
BEPも結構いろんな問題をはらんだレジメンで
こういう話が出ているようです。
②のアプローチの照射野が気になるところ。
INRTと書いてあるので、 腫れているリンパ節だけいれているのだろうか。