お勉強493:直腸がん、TNTするならCRTかshort course RTか?

https://www.annalsofoncology.org/article/S0923-7534(24)01518-7/fulltext

NOM目的でTNTするのにCRTか5Gy*5FrのRTか?
というのはしょっちゅう話題になり、いろいろ議論の的。
先日紹介したASCOのガイドラインでは

4.1のところを参照していただくといいが、RAPID試験で
局所制御が悪くなったのでCRTやんわり推奨。


メモリアルスローンケタリングからの報告
直腸がんの術前照射はもともとCRTをやっていたのだが
コロナが流行って感染対策のために
いわゆるショートコースのRT(SCRT)に
切り替えて対応していたよう。

その二つの成績を比べてみたよ!という研究
(争点はNOMの成功率や、局所制御率がメイン)

ここで発表されていたものの論文化

https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/217698


SCRTは基本25Gy/5Frで。(2020年3月~6月、2020年11月~2021年1月)
CRTは3Dなら45Gy/25Frの全骨盤して、50.4-54Gyまで
局所ブーストを足す。
IMRTならBoostを54Gy・46.98Gy/27Frでやったり
25Frで50/45GyのSIBをやって4GyBoost局所照射したり
しているよう。

ケモはCAPOXかFOLFOX
ケモ→CRTorSCRTが多い(約7割)
でも、CRT/SCRT→ケモ の方がcCR率は高い
(統計学的有意差はない)
この辺はOPRA試験とおんなじ。

CRTのケモはほとんどカペシタビン

W&Wの患者フォローは
直腸診、内視鏡検査、CEAを2年間は4ヵ月ごと
その後5年目までは6ヵ月ごと
直腸MRIを治療終了後3年間は通常4〜6ヵ月ごと
胸部、腹部、骨盤CTを治療終了後5年間は通常6〜12ヵ月ごと。

期間は2018年から2021年(内訳は上記参考)
化学療法を受けた323名の局所進行直腸腺癌患者を対象とし、
CRTとSCRTの効果を比較
CRT247名 SCRT 76名 背景は大きな差なし

TNT後中央期間8週で判定。
cCRを達成した患者はWatch and Wait

フォローアップ期間は31ヶ月
RT/CRTでcCR率は44%程度で変わりなし
臓器温存:TNT終了2年後の割合は、(治療うけた患者全体で)
CRTが40%、SCRTが31% 有意差あり

W&W群で
CRT群は2年の臓器温存率89%、SCRT群は70%
(肛門からの局所切除でサルベージした場合は臓器温存としている)
局所再増大はCRT群19% SCRT群36% 有意差あり
遠隔再発率、無病生存率、全生存率は両者に差はなし。

ということで、CRTがNOM目指すなら、望ましい!
という結論。

もちろんRCT:ACO/ARO/AIO-18.1試験
でもっとはっきりした結果が出るだろうが。


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