お勉強508:膵癌周術期治療、膵尾部は良い?
https://www.annalsofoncology.org/article/S0923-7534(25)00004-3/fulltext
術前療法が左側切除可能膵癌(要は膵体尾部がん)
に有用か?という論文。
膵臓の術前療法は膵頭部癌の報告が多く、
今回は一般的に予後が悪いとされる体尾部癌での研究。
OSがエンドポイントのよう。
術前療法として多かったのは
mFOLFILINOX(38%)、GEM+nabPTXが22%と
33%が放射線治療併用と
(放射線治療のみの術前治療患者は除かれていると
両群とも72%アジュバントを受けている。
18か国76施設で、2013年から2019年の間に
左側切除可能膵癌の切除を受けた患者2282名を対象とした
国際多施設後ろ向き研究。
術前療法を受けた患者(290名、13%)と
術前療法なしの初回手術群を比較。
主評価項目は診断時からの全生存期間。
術前治療を受けた群は
・若い
・腫瘍が大きい
・脾動脈/静脈浸潤が多い
・N陽性が多い
・CA19-9が高い
術前療法は、調整後の中央値OSを延長
(術前療法群: 53か月 vs 手術群: 37か月, P=0.003)。
※放射線の有無はOSの優位性には影響しなかったとのこと
調整後の5年OS率は術前療法群で47%、手術群で35%(P=0.0001)。
効果は腫瘍サイズが大きい患者(P=0.003)
および血清CA19-9値が高い患者(P=0.005)で顕著。
あと、アジア圏の成績がすんごい良い。
脾動脈、脾静脈、後腹膜、または多臓器浸潤の有無で
術前療法の有用性は変わらなかったよう。
日本では、GS術前が標準だが、
海外ではいろいろやってもうまくいかなかったり、
OSに差がつかなかったりの領域で、
はやく日本のGSの論文が出て俎上に載ってほしいところです。
あと、術後療法も海外だとmFOLFILINOXとかやっても
イマイチな結果も出ていて、S-1ってすごい薬だな、と。
肺がん早期のUFTとかでもそうだけれども
術後はコンプライアンスが一番重要なのかもしれない。