お勉強429:直腸がんGI24時点でのまとめ
いいまとめだったので引用しつつ、
(一応ツイート一枚一枚リンク張りますが、上の
リンクから一連のスライドで見ることも可能です)
https://note.com/nijuoti/n/nb9164ade8246
こちらも参考にしていただくと、さらに理解が深まります
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873240284725478
1:直腸がん自体が多様な疾患群であり、診療は急速に進歩している
GI24時点でのまとめ
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873242725732677
2:術前RTは直腸がんの局所再発を減らすのはたしか
しかし急性期・晩期有害事象
(膀胱・腸管・性関連・女性ならホルモン分泌)
などが問題であり、QOLとがんのコントロールをどうしていくかが
常に問題のところである
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873245217145017
3:直腸がん自体が多様な疾患で、局所制御と遠隔制御の
両方のポイントを見ていかなければならない
→治療を考えてい上で再発のパターンを理解することが必要
遠隔転移:CEAが高い・T4/N2/EMVI など
局所制御:いわゆるRb・CRMがとれなさそう・T4b
こういった群でEMVIを認めているとさらにリスクは上がる
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873248492720291
4:近年まで術前CRT/RTが一般治療だった欧米でも
「放射線いらない症例もあるんじゃね?」
という風が吹いてきている
いわゆるRa~RsでcT2~T3b、CRM取れそう、EMVIなし
といった前のスライドで出てきた「局所制御リスク」がない症例で
・いきなり手術
・pNがあるならケモ追加
といったような試験(スライド参照)で
局所再発率は5年5%以下と十分満足できる結果が得られている
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873251244421356
5: リスクの低いcT3N0-1/cT2N1の低位前方切除が難しくない症例で
いわゆるCRT(ロングコース)と術前ケモ(+CRT)
の比較がPROSPECT試験で検討された
※実際には9%程度しか術前ケモ群でCRTはたされていない
https://note.com/nijuoti/n/n1c0baba1493f
局所制御、DFS、OSは差がなかった
(ケモの有害事象はあるが…)
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873253798765036
6: PROSPECT試験ではPROでQOLの解析も行われて
QOLには差がないこと、(急性期有害事象はケモが少し多め)
性的機能の温存に優れていたこと(男女ともに)
が分かっている。
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873256206225768
7: こういったデータから現在は海外でも
・mid以上の直腸
・cT2-3
・CRMが充分取れそう
・mesorectumのN0/1
・低位前方切除で取れそう
ならばRT省略の流れが出てきている
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873258223685812
8: では、`high risk`な直腸がんではどうするべきか?
RAPID試験では cT4/cN2/EMVI+/CRM陽性になりそう/側方リンパ節
があるという症例を
・CRT (必要であればアジュバントケモ:42%で行われた)
・いわゆる短期のRT単独→FOLFOXのTNT
の比較が行われた
OSは差がつかなかったが、
遠隔転移の減少、病気による治療失敗は減少した
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873260669046958
9: TNTの有用性を決定づけたのはPRODIGE23試験である
・CRT→ope→FOLFOX
・mFOLFIRINOX→CRT→ope→FOLFOX
の比較で、TNT群で、DFS改善、遠隔転移の減少
さらにOSの改善!まで得られた。
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873262833217785
10: 術前RTなしの試験はやはりリスクの低い症例がメインで
術前TNTがハイリスクには最適な手段と考えられる
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873265391775884
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873267547664777
11-12 ここまでのまとめをガイドライン的にスライドにまとめている
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873269569298445
13: 続いて話はショートコースのRT(通常5Gy*5Fr)か
いわゆるCRT(50Gy近辺までの5-FU 系製剤の併用)
どっちが良いか、という話題へ
RAPIDO試験、という試験でハイリスク症例は
局所制御はCRTのほうが良い、というデータがあるそうで、
CRTが局所制御が欲しいなら望ましいと
※去年のASCOGIでも同様のレトロの結果が出ている
https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/217698
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873271834292560
14:直腸温存の話へ… 目的としてはQOL/機能を保つことである
低位前方切除のデメリットとRTのデメリット
どちらもあるが、どちらかを省略することで
QOLや機能を温存する、という考え方の中で
「手術を省略する」という方が好まれる、というのが
NOM/W&Wの主旨となっている
(RT省略については承前)
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873273981685787
15: なんども出てくるOPRA試験 TNTでCRTが先か、ケモが先か。
結論としては、CRT→ケモのほうが
局所制御が良く臓器温存率高い
きちんと症例を選べばDFSは即手術群に劣らない
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873276124999993
16: さらにさらに突っ込んで線量を増加させることで
臓器温存が狙えないか、というのがOPERA試験
肛門からkVのX線を出す機械を突っ込むことで
線量増加→3年臓器温存率が81%に!!
RTの強度増加は臓器温存の一手となりうる。
※上に機械のスライドあり
https://twitter.com/KrishanJethwa/status/1748873278280925476
17: まとめのスライド。一読の価値あり
個人的補足
基本的に欧米の治療開発は
CRT→TNTもしくはCRT→ケモのみのescalation/de-escalation
が現在のトレンドとなっている。
その中でNOM/W&Wをどのような群に行っていくかは
非常に喧々諤々のようである。
当然ステージが浅ければNOMの成功率は
上がるわけだが、NOM失敗時はRTの余計な副作用が増えるわけで…
だが、現状のステージが浅ければTMEで
ステージが進んでいたらNOMのチャンスがある、
というのも何とも変な話。
低位前方切除の適応となる部位で
今後いろいろな治療開発が出てくると思われる
個人的に非常に大事なことと思うのは
このスライドでも出てくる「リスク評価」は
その根本にあるのが直腸MRIであり、
直腸MRIが広まっていない(画像診断ガイドラインにも載っていない)
日本の現状は治療の選択以前の問題をはらんでいる。