お勉強380:直腸MRIで術前療法の適応を選ぶ
https://www.medscape.com/viewarticle/993699
https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.22.02166
普段TNTでW&Wガーな私ですが
こちらの試験のように、RTを加えないという選択肢も模索されている
・W&Wができなかった場合にRT入っていないほうが機能予後は良い
・女性の場合妊孕性温存ができる
・なんだかんだで世界的にはRTのハードルは決して低くない
直腸がんではもはや世界的にはMRIを撮らない、
というのはあり得ない時代になっていて、
結構日本はこのあたり遅れ気味。
ネットを見ていると
という非常に丁寧な動画あり。
MRIの良いところは
・mesorectal fascia (MRF) :手術の剥離ラインが、見える
→pathological circumferential resection margin (pCRM)
(要はMRFからどれだけ離れてとれるか、)が測れる
これが1㎜以下だと局所再発しやすいとのこと
pT因子やN因子よりも局所再発因子らしい
・リンパ節転移が見やすい(が、PPV/NPVはそこまで高くないよう)
・extramural vascular invasion(EVI)が見える
→簡単に言うとmacroな(といっても3㎜ぐらいらしいけど)
静脈・リンパ管侵襲が見える。
→転移や局所再発の目安
・下部直腸の筋肉浸潤なども見える(ISRの適応とかもわかるらしい)
というところにある。
ということで、今回はMRIを使って
局所再発リスクをしっかりと見積もったうえで
手術先行か、CRTをするか、とchoiceして
治療をしてみました、という研究。
対象はcT2-4でNは問わず
ハイリスクは1.5T MRIで体表コイルの診断で
・MRFまで1㎜なさそう(リンパ節転移なども含む)
・cT4
・下部直腸のcT3(MRFの判断難しく、予後悪いため)
と定義
CRTは3DCRTで5-FU併用 50.4Gy/28Fr
6-8週後手術
884人をこの条件で選別。
530人が手術先行。5年局所再発率は全体で4.1%、
手術を先行した群で2.9%、CRT行った群で5.7%という結果。
5年遠隔転移率は15.9%/30.5%
フォローアップ中に大腸がんで亡くなったのは
low risk 11% high risk 21.8%であった。
CRT群のpCR率は11.9%
下部~中部のStageII-IIIのうち45.1%が低リスクと判断され
即手術、その局所再発率は3.8%
残りのハイリスクは局所再発率5.9%で、遠隔転移が34.5%であった。
(CRT群の局所再発率が高いのは、CRTしなかったらもっとひどいわけで、
ちゃんとふるい分けできた結果ととるべし)
筆者らはTNTの適応もMRIである程度つけれるのでは?
と述べている
(T1~2やEVI-という群はケモいらないのでは?)
もちろんW&Wにも触れられていて、
世界の流れはどちらかというとそちらにあることも認めつつ
低リスクなら(W&WでCRになる可能性が高いと言外にいいつつ)
手術のみ、というのもありな選択肢ですね、という結論。