お勉強373:SBRTにICIの上乗せ!
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(23)01384-3/fulltext
‘I-SABR‘試験
SBRTにニボルマブを足すか、足さないかという試験
(足すといっても4W回しで四回のみ)
試験デザインとしてはII相、ランダム化、非盲検試験です。
非盲検ということで、ローカルコントロールや転移などの
判断はマスキングされた診断医が行っているようです。
試験のメインのアウトカムとしては
4年イベントフリーサバイバルがper-protocolで
SBRT単独群53%、ニボルマブ上乗せ群77%
HR0.38という大勝
ITTでもHR0.42
※ただ、日本の成績と比べるとSABR単独群がちょっと悪い感もある
irAEは15%で毒性も思ったよりは軽かった。
(G3以上の肺炎なし、G4以上の有害事象なし)
PD-L1の発現は高いほうが効果が高いが、
陰性でも効果は見られている
(筆者らはSBRTでPD-L1発現が上がった可能性に言及)
OSなどはまだインマチュア、ということのよう
SBRT単独群では、再発形式(局所、領域、遠隔)が
13%、11%、16%でニボルマブを足すと
0%、6%、3%
となるよう。
また肺がんが出てくる確率も8%から3%にダウン
日本では到底受け入れられないが
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2212083
の試験を引用して、手術の場合、5年で
T1aN0M0で再発率が約30%、第二肺がんが18%という値を出して
ニボルマブを足すことで免疫が活性化されているのではと述べている。
周術期のICIの上乗せのHRが0.6~0.7で
PACIFICのICIの上乗せのHRが0.52
今回の試験のHRが0.38ということで
以前のstudyより上乗せは大きい
(のを、RTのICI増感効果、としてアピールしたい論調だが、
個人的にはRTの成績が悪いだけ、というようにも自虐的に感ずる)
他にも
・SBRT直後にICIを入れている
・SBRTは所属リンパ節に線量が入らない
・SBRTは通常のRTに比べ、リンパ球減少期間が短い可能性
・SBRTはより免疫を活性化する可能性
なども有利に働いたのでは?と
以下細々
・4DCT必須
・基本50Gy/4Fr、危なければ70GY/10Fr
GTVにはSIBでBoost
OAR優先
・サイズは7cmまで許容らしいがほとんど3㎝以下
(中央値は2cm程度)
・年齢中央値は70歳程度
・海外あるあるだがN因子が陰性であることに結構注意深い
(縦隔リンパ節の盲目的EBUS-FNAや縦隔鏡を行っている)
・術後再発も入っているが、その群は予後悪め
・頭部MRIは全例には行われていない
・遺伝子変異群は少なすぎて有用性は分からない
III相試験もたくさん走っているようで、
SBRTを受ける患者群でも
ニボルマブ単独、4回投与ならなんとかできる可能性もあるし
かなりの効果を得られるので、このストラテジーは期待です。